第100回 鉄道総研月例発表会:鉄道技術発展への展望

剛体電車線構造のシステム化


東京都地下鉄建設(株) 計画部 渡會 猛

 DC1500V架空単線式地下鉄では、無断線、長寿命化を目的とし、またトンネル断面積の縮小化にも対応できる電車線として、剛体ちょう架式(剛体電車線)が多く採用されている。8都市18路線における剛体電車線構造は、銅トロリ系3種、鉄レール系3種に及び、その建設工事や保全改修は3Kと評されるほど環境、作業条件は厳しい。作業の効率化、省力化につながるL形トロリ材を使用し組合せシステム化した剛体電車線構造の提案である。



JR北海道 21世紀の鉄道車両と工場


JR北海道(株) 鉄道事業本部運輸部 佐藤 巌

 この論文は、苗穂工場のプロジェクトチームが、会社への提言として作成したビデオを論文形式に編集しなおしたものです。15〜20年後の社会背景や北海道の将来像を予測し、当社のおかれた立場を明確にするとともに、これからの鉄道技術者の役割、工場技術者の役割を定義します。そして、新しいコンセプトを持つ車両を都市間、都市圏、ローカルなど5つに分けて提案し、それらの車両の保守の概念について述べ、それらを開発・検修する工場のあり方について提言します。



MAGLEV技術者の夢


浮上式開発本部 技師長 澤田 一夫

 山梨実験線における走行実験が開始され、超電導磁気浮上式鉄道MAGLEVは時速500Km の次世代高速鉄道として実用化に向け着実に前進しつつある。しかしMAGLEVはさらに大きな発展の可能性を秘めている。最高速度を抑えているのは空気にまつわる諸問題であり、減圧チューブと組み合わせそれらを払拭すれば、MAGLEVは本来の高速性を発揮する理想的な中長距離大都市間輸送システムとなるであろう。ここにその一つのイメージを提案する。



浮上式鉄道


浮上式開発本部 技術部長 池田 春男

 山梨実験線では、18.4kmの先行区間の工事が終了し、本格的な走行試験が開始された。連接台車方式の3両編成車両によって、車輪走行試験ならびに浮上走行試験を行うと共に速度向上を図り、年度内に最高目標速度 550km/hの達成を目指す計画である。国立研究所では、走行試験を進めるにあたって必要な研究と、この走行試験データの解析、ならびに経済性、信頼性、耐久性に重点を置いて要素技術の改良を進めている。



高速化


技術開発事業本部 主幹 手塚 和彦

 他交通機関との競争力を高める上で重要な列車の到達時間短縮のためには、騒音や振動を抑え、快適性を向上し、高速化をはかることが必要である。高速化プロジェクトでは、JR各社の速度向上計画に参画しつつ、実用化技術開発を推進してきた。ここでは、環境と調和した新幹線高速化のための技術開発、次世代の在来線高速化に必要な技術開発について、最近の取り組みを紹介し、今後の課題を概観する。



メンテナンス


技術開発事業本部 主幹 長瀬 隆夫

 検査・診断・評価法の改良開発および材料・部品・設備の長寿命化を重点項目とし、軌道・トロリ線・信号設備の検測法の低廉コンパクト化、き電線・ちょう架線の腐食状態検査法、連続走査画像処理法の地上設備検査への応用、車軸の検査体系の見直し、台車枠の強度評価法、エンジン検査の簡素化、低廉型省力化軌道、路盤・道床強化法、コンクリート構造物の診断と補修法等の開発課題に取組んでいる。



都市鉄道


技術開発事業本部 主幹 石橋 輝樹

 情報化・国際化・高齢化が加速する21世紀を目前に控え、都市圏の通勤・通学輸送サービスの改善は、JR等鉄道事業各社の重要課題となっている。総研は95年7月都市鉄道プロジェクトを設置し、現在設備を極力活用する中での実効ある対策のため、輸送需要、駅構造、運転制御車両の各分野において、停車時分短縮のための駅最適構造化や次世代通勤車両等の関連要素技術およびそれらを総合したシステムの開発を進めている。


第100回 鉄道総研月例発表会

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