第107回 鉄道総研月例発表会:山梨実験線の試験概況

設備・試験概要


山梨実験センター 主幹 高橋 潔

 山梨実験線では、第一編成車両を使用して平成9年4月から本格的な走行試験が開始され、初年度の目標である磁気浮上式鉄道としての基本機能(高速浮上走行)の確立を目指した試験を続け、平成9年11月末に500km/h以上の速度領域に到達した。最高速度到達までの速度向上に要した9ヶ月間に行った、各種の走行試験実施状況と設備関連事項について、その概要を報告する。



支持駆動特性


藤原研究室 研究員(係長) 村井 敏昭

 山梨実験線では、車両側において、超電導磁石を連接台車に集中配置する方式を本格的に採用するとともに、地上側において、支持方式として側壁浮上方式、駆動方式として2層推進方式をほぼ全面的に採用している。これまでの走行試験によって得られた実験結果をもとに、これら支持駆動方式の特性を整理した。



超電導磁石・極低温システム


浮上式鉄道開発本部  主幹 土島 秀雄

 山梨実験線の超電導磁石、極低温システムについては、超電導磁石の耐クエンチ性の向上と熱負荷増の低減、車載冷凍システム自身の信頼性向上、地上冷凍液化設備・励消磁・関連計測の自動化、基地設備の整備等によって総合的なシステムの信頼性向上とオペレーション並びにメンテナンスの簡略化・省力化を進めてきた。本発表は、このようなコンセプトの具体的内容とこれまでの山梨実験線での試験並びに運用の結果および今後の課題について概説する。



リニアモータ駆動システム


電気部 主任技師 加賀 重夫

 山梨実験線におけるリニアモータ駆動システムは、駆動制御システム、電力変換器および、き電システムから構成している。これらの各システムにおけるリニアモータ駆動に関する機能概要を紹介する。また、リニアモータ駆動システムにおける速度制御特性、き電系の電流制御特性および、き電電流・電圧の高調波特性について、走行試験結果の一例を用いて紹介する。



ガイドウェイの動的応答特性


土木部 主任技師 四十九 勇治

 山梨実験線の土木構造物は18.6kmのうち約1.8kmが橋梁と高架橋である。スパンや構造の異なる構造物数種類について、リニア車両走行速度400km/hまでの桁たわみ量を測定した。また、3方式あるガイドウェイのうち、ビーム方式について桁たわみ量を測定した。桁およびビーム方式についての動的応答特性として衝撃係数・固有振動数・減衰率等をとりまとめたので報告する。



速度向上・最高速度確認試験結果


技術部 主幹 古木 勉

 本年4月より本格的な走行を開始した山梨実験線のMLX01は、11月には500km/h走行を達成し、12月現在さらなる速度向上を行って最高速度の更新を図っている最中である。この間の速度向上の経過を、推力特性、ブレーキ力、および環境影響等について、報告する。また、走行に当たって作成された保安速度曲線や、実際の走行軌跡を提示するとともに、走行状況について、VTR等にて紹介する。


第107回 鉄道総研月例発表会

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