輸送情報技術研究部 (旅客システム) 主任研究員 土屋 隆司
利便性の高い輸送サービスの実現のためには、鉄道のみならず、ITSを含めた、異種輸送システム間の円滑な連携とサービスの連続性の保証が不可欠である。鉄道総研では、ニーズ、シーズ両面から、このような高度なインターモーダル輸送システム(サイバーレール)を実現するための課題について広く意見交換を行うために「サイバーレール研究会」を設置したので紹介する。
人間科学研究部 (心理・生理) 副主任研究員 水上 直樹
鉄道総研では、駅の利用者に対して情報の面から支援することを目的に、従来の不特定多数に対する掲示板的な案内ではなく、個々の利用者に対して音声による情報提供を行う視覚障害者向け誘導案内システムの開発を進めている。本発表では、実際の駅で視覚障害者に本システムを利用してもらい、その行動観察やヒアリングを行うことにより明らかになった利点や、今後改良すべき問題点について報告する。
輸送情報技術研究部 (設備システム) 主任研究員 菊地 誠
鉄道の現場では従来、設備検査データの入力手段として携帯端末を利用してきた。これに対して最近では、携帯電話でインターネット接続するモバイルインターネットが普及してきているが、携帯電話を用いてデータ入力ができれば、検査状況を逐次確認できて便利である。それには、現場で使いやすいコンテンツの作成(WEBサーバ上)が必要である。本発表では、モバイルインターネットの現状と課題、及び鉄道の現場での活用を提示する。
輸送情報技術研究部 (旅客システム) 副主任研究員 鈴木 尚子
走行列車を含めたイントラネットを構築するためには、特に車上−地上間の通信が重要となる。我々は複数の無線通信手段を、列車の位置や使うアプリケーションに応じて自動的に判断し、セットアップや切り替えを行いながら、しかも継続的なデータ通信を可能にし、利用者にはそれを意識させないシステムを提案している。今回はその提案システムの概要と、既存のソフトウェア技術を利用した実現例について述べる。
信号通信技術研究部 主任研究員 福岡 博
近年、信頼性・安全性に関する規格が多く適用されるようになり、鉄道システムとしての信頼性評価を求められる事例が多くなってきた。ところが、鉄道では、様々な装置、要員が複雑で流動的な依存関係をもっているため、一般的に行われている機器構成ベースの方法では解析が難しい場合が多い。そのため、ここでは、他のシステムとの関係も含め総合的なモデル化を行う、新しいネットワーク型の信頼性評価法を提案する。
信号通信技術研究部 (信号) 主任研究員 櫻井 育雄
在来線用の主力電気転てつ機が実用化されて35年が過ぎ、JRから次の時代に適した転てつ機の開発要請を受けて、転換鎖錠システムを含めた再検討を行った。その結果、エスケープクランクを介して転換鎖錠することで小型軽量化を図り、転換部と鎖錠部を分離・独立させることで柔軟なシステム構成が可能となる新たな構想の電気転てつ機を開発することとした。現在は現地耐久試験の段階にあり、その構想および開発内容等について報告する。
信号通信技術研究部 (信号) 主任研究員 佐藤 和敏
現行ATS地上子の変周機能に、停止信号までの距離情報などをディジタル情報として送信できる機能を追加した地上子を開発した。この情報を用いれば、車上での速度照査機能が実現でき、現行ATSの保安度を安価に向上させられる。ここでは、開発したディジタル情報伝送方式の構成及び仕様について概説し、この方式を用いた新しいATSについて紹介する。
信号通信技術研究部 (列車制御) 副主任研究員 佐々木 達也
閑散線区用として低コストで現行の電子閉そく装置などと同等以上の保安度を有し、導入後の保守コストを低減できる列車制御システムを開発した。本装置は列車検知に無線を使用したCOMBAT(バリス式列車検知装置)を用いた線区集中方式で連動・閉そく機能を実現している。また、開発したこれら装置について3駅2中間によるモニターラン試験を実施し性能を確認した。本発表では装置概要と現地試験結果について報告する。
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