第147回 鉄道総研月例発表会:WCRR2001

WCRR2001の概要


情報・国際部(国際) 課長 西江 勇二

 2001年11月25日から5日間、ドイツ・ケルンにおいて第5回世界鉄道研究会議(WCRR2001)が世界32か国から1,000名以上の参加者を得て開催された。WCRRは世界でも最大規模の鉄道関係の国際会議に発展してきたが、ここではドイツ鉄道(DB)により「市場・製品・技術」をテーマとして開催された今回の会議の概要を紹介する。


旅客と貨物関係


輸送情報技術研究部(旅客システム) 研究室長 後藤 浩一

 WCRR2001で発表された論文のうち、旅客輸送及び貨物輸送に関するものの概要を紹介する。旅客輸送関係では、最新の情報通信技術を用いた新サービスの検討や導入、旅客列車向けの新しい車両の紹介などがあった。貨物輸送関係では、顧客のニーズに迅速に対応するためのインターモーダルな輸送体系の構築、環境問題からの鉄道輸送の推進、情報通信技術を用いた輸送管理の高度化などが目立った。



環境と安全関係


環境工学研究部(空力騒音) 副主任研究員 長倉 清

 WCRR2001において、環境と安全関係では、8つの口頭発表セッション(保守、騒音、環境、安全、軌道の安全、脱線に関する安全、軌道の安全、安全、環境、騒音、騒音と横風)および1つのスペシャルポスターセッション(空気力学)が行われた。口頭発表セッションでは、EU各国、アメリカ、中国および日本(計11カ国)から31件、スペシャルポスターセッションでは、EU各国、韓国および日本(計5カ国)から6件の論文(アブストラクトのみの提出を含む)が提出された。



車両関係


車両制御技術研究部(電気動力) 副主任研究員 近藤 圭一郎

 主に車両に関連したセッションについての報告を行う。今回の発表では、積極的な車体傾斜・振動制御や貨物列車のブレーキ性能向上等欧米の特徴的な技術に関する発表が目立った。また、我が国からは最新および次世代の車両システムのあり方等、システム設計思想に関するものが特徴的であった。本発表ではこれらを始め、彼我の技術思想の違い等にも触れながら車両関連発表の概要を紹介する予定である。



電力と集電関係


鉄道力学研究部(集電力学) 主任研究員 池田 充

 電力・集電関係では、3つの口頭発表セッション(架線検測・架線・パンタグラフの相互作用、メカトロニクス)、および6つのスペシャルポスターセッション(次世代動力システム、電気鉄道、シミュレーションモデル、鉄道建設と安全性、電化、集電)がそれぞれ開催された。これらセッションにおける発表内容について、概要を紹介する。



軌道と構造物関係


鉄道力学研究部(軌道力学) 研究室長 石田 誠

 軌道と構造物関係としては、8つのオーラルセッションで32件および5つのスペシャルポスターセッションで22件の計54件(他に未発表3件)の論文発表があった。特に、軌道関係の発表において、最近のレール折損を起因とする脱線事故の影響から車輪とレールの接触問題が注目された。また、構造物を含めて、メンテナンスをキーワードに脱線計画、新たな構造とその設計手法、検測・検査手法、診断手法等に関する興味深い論文が多かった。



列車制御関係


信号通信技術研究部(信号) 研究員 寺田 夏樹

 WCRR2001における列車制御・運動管理に関する発表は、運行管理、列車制御・運行管理の総合ツール(2セッション)、安全性、自動化、標準化・国際化の6つのオーラルセッションと、列車制御における自動化、モジュール化・標準化、列車制御の自動化(2セッション)、運行管理の統合化、列車追跡の5つのスペシャルポスターセッションで計47件、そのほかにポスターセッションが21件あった。これらの発表の概要について紹介する。



浮上式関係


浮上式鉄道開発本部(山梨実験センター) 課員 鈴木 江里光

 磁気浮上式鉄道に関する論文は8件発表された。山梨リニア関連発表では、走行試験の経緯と近況、電力供給と列車制御、磁気シールド特性を改善する超電導磁石配置、地上コイル狂いの車両運動への影響とガイドウェイ検測、車体のセミアクティブ振動制御、タイヤ内圧検知装置、自動車両重量測定装置などの紹介があった。また、ドイツのトランスラピッドの開発経緯と2001年に開始した中国の上海〜浦東空港間の建設状況の発表もあった。

              
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