第181回 鉄道総研月例発表会:最近の輸送情報技術

最近の輸送情報関連の研究開発


輸送情報技術研究部 部長 富井 規雄

 最近の輸送情報技術関連の研究内容を紹介する。まず、研究対象全体の概要と、本日の各講演がその中で占める位置づけについて述べる。あわせて、輸送情報技術関連のその他の研究動向、今後の研究方向についても紹介させていただきたい。


乗務員運用計画自動作成システム


輸送情報技術研究部(運転システム) 主任研究員 坂口 隆

 ダイヤ改正において策定する輸送計画の一つに乗務員の勤務行路を定める行路計画がある。行路は多くの制約条件を満たし、またそれにより各列車に過不足無く乗務員を割当てる必要がある。JRを対象とした複雑な行路計画の自動作成は非常に重要な課題でありながらいまだ実現されていない。本発表では、このようなシステムの実現にむけて開発した行路計画自動作成アルゴリズムの概要と、そのなかで実用化のために解決した課題と解決手法について述べる。



貨物駅構内作業計画自動作成システム


輸送情報技術研究部(運転システム) 研究室長 福村 直登

 従来から、貨物駅の構内作業計画は膨大な時間をかけて手作業で作成されているが、今後、ベテラン担当者の減少が予想されることから、コンピュータを用いた業務支援システムの開発が望まれている。今回、プロジェクトの工程管理で用いられるPERT手法と、確率的探索手法を組み合わせて、日々の構内作業の変更計画を自動的に作成するプロトタイプシステムを構築したので、その概要について報告する。



視認性の高い列車ダイヤ図描画方式


輸送情報技術研究部(運転システム) 主任研究員 山下 修

 ダイヤ図は、鉄道の運行計画に関わる膨大な情報をコンパクトに表現した重要な図表であるため、きわめて高い視認性が要求される。しかし、コンピュータで作成したダイヤ図には、「列車番号等が重なり合う」、「見やすい位置に配置されない」という問題があるため多大な労力と時間をかけて、人手でそれらの位置を調整しているのが現状である。本研究では、列車番号等を、重複を避けて見やすい位置に配置するアルゴリズムを開発し、実データを用いてその有効性を確認した。



鉄道とバスを含むマルチモーダルな旅客案内システム


輸送情報技術研究部(旅客システム) 研究室長 土屋 隆司

 鉄道、バス等、複数の交通機関を用いて移動する旅行者に対して、その状況(移動目的、移動スケジュール、現在位置等)に応じて、的確な情報をリアルタイムに提示する手法について提案する。特に、利用者の予定変更、交通機関の運行乱れ、および移動環境における各種位置検知システムの可用性の限界など、システムの実運用上、想定される諸条件を考慮したシステムの設計・実装手法について考察する。



都市圏鉄道ネットワークを対象にした列車別乗車人員推定手法


輸送情報技術研究部(旅客システム) 副主任研究員 明星 秀一

 多くの自動改札機は、利用者の発駅着駅(OD)の組合せごとに利用者数を時間帯別で集計した時間帯別ODデータを収集している。ダイヤデータを利用して各時間帯のODごとに利用者の経路を推定し、それぞれの経路の利用者数を時間帯別ODデータから推定する手法を考案し、各列車の駅間での利用者数と各駅での乗降数を推定するシステムを開発した。本発表は、開発したシステムの概要を報告する。



音声技術やRFIDタグを活用した設備管理システム


輸送情報技術研究部(設備システム) 主任研究員 佐藤 紀生

 設備保守現場における検査結果データ入力の正確化、効率性向上を目的として、音声認識/合成技術を活用した対話型検査データ入力、及びRFIDタグの非接触読取機能を活用した設備特定手法を開発した。これらの機能と従来開発を進めてきた、設備管理図面の自動生成、及びモバイルインターネット技術の適用時に問題となっていた、トンネル等の電波不通対策も考慮し、統合した設備管理システムについて紹介する。



自然文解析技術を用いた設備情報提供システム


輸送情報技術研究部(設備システム) 主任研究員 野末 道子

 電子ファイルの共有化やネットワークの構築が進み、いつでも、どこからでも必要な情報にアクセスしたいという要求に応える環境が整備されつつある。そこで、利用者が日常的に携帯する携帯電話のメールや、音声対話により、必要な情報を検索、提供するための仕組みを検討してきた。今回は、自然言語処理手法を取り入れた保守マニュアル検索や検査履歴データ検索プロトタイプを構築した事例を紹介する。




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