第294回 鉄道総研月例発表会

日時 2015年10月16日(金) 10:00~16:40
場所 大阪 毎日新聞社ビル オーバルホール
主題 鉄道の将来に向けた研究開発

プログラムと発表概要

10:00~10:10
【総論】鉄道の将来に向けた研究開発の主な成果 ※1

鉄道の将来に向けた研究開発(将来指向課題)は、概ね5年から10数年先の実用化を念頭に置き、鉄道事業者のニーズや社会動向などに応え、先行的な技術開発や鉄道の将来を指向する研究課題として、技術分野の垣根を越えて横断的に進めてきた。ここでは、将来指向課題の推進体制などを含め、全体の概要を紹介する。

発表者

企画室 室長  奥井 明伸

【大課題】鉄道システムの安全性・信頼性向上 

10:10~10:35
知能列車による安全性・信頼性向上 ※1

運転士と機械(車両)の役割分担を見直し、マンマシン系を高度化することにより安全性を向上する「知能列車」の開発を行った。本システムは前方監視システム、車両状態監視システム、運転士状態モニタなどの個々の機能をサブシステム(子知能)が受け持ち、メインシステム(親知能)が車内LANを通じて伝送されたサブシステムからの情報を統合して、発生事象の性質と走行中の路線情報から最も安全な運転パターン・停止位置を判断し、運転士のパニックを招かないように運転指示・制御介入を行う階層構造になっている。また、人間工学的見地から運転士がパニックを起こしにくい異常情報提示方法を提案した。

発表者

研究開発推進部 主管研究員  佐々木 君章

10:35~11:00
脱線・衝突に対する安全性向上 ※1

台車枠側ばりと横ばりの接合部に回転機構を設け輪重減少抑制を図った台車に、横圧低減のための操舵システムを組み込み構内走行試験を実施した結果、輪重減少抑制機能と操舵機能の協調による脱線係数の低減効果を確認した。また、車両衝突時の車体変形挙動シミュレーションと人体挙動シミュレーションを連携させることにより車体衝撃加速度と乗客傷害値との関係を明らかにし、乗客被害軽減のための目標となる衝撃加速度を提案した。

発表者

車両構造技術研究部 主管研究員  石塚 弘道

11:00~11:25
気象災害に対する安全性向上 ※1

気象災害の予防と被害軽減に関わる3つの技術課題、①点観測による自然外力情報(降雨、強風など)の面的推定精度の向上、②新たな危険度評価指標(発災ポテンシャルと呼ぶ)による危険箇所抽出技術の開発、③相対的危険度(ハザード)、影響範囲のマッピング技術の開発、を目標として研究開発を進め、土砂災害、強風災害、雪崩災害、落石災害を対象として、素因、外力とそれに基づいた災害発生の可能性を評価し、得られた評価結果をGIS(地理情報システム)上に表示する災害ハザードマッピング技術を開発した。

発表者

防災技術研究部 部長  太田 岳洋

11:25~11:50
地震に対する安全性向上 ※1

マグニチュード8クラスの地震動に対しても合理的に鉄道の安全性を評価できるように、①地震動・地盤、②橋梁・高架橋などの構造物、③電車線柱、④走行車両について、巨大地震に対する挙動の解明とその評価手法をそれぞれ開発した。次に、負剛性摩擦ダンパーや地盤免震、超連続高架橋など新しい発想に基づき、構造物のみならず電車線柱や走行車両にも有利な構造型式の提案や、電車線柱の地震対策法を提案し、これらの地震に対しても有効であることを実験または数値解析により検証した。

発表者

鉄道地震工学研究センター 研究センター長  室野 剛隆

11:50~13:00
休 憩

【大課題】エネルギーの高効率な利用 

13:00~13:25
車両のエネルギー消費低減 ※1

主回路システムの高効率化などこれまでにエネルギー低減を目的に検討された個別技術や、新材料適用による軽量化など新しく開発する技術を統合し、トータルとして消費エネルギーを評価する手法を構築するとともに、現在より10%消費エネルギーを低減する車両を提案した。

発表者

車両制御技術研究部 部長  山本 貴光

13:25~13:50
電力の新供給システム ※1

電力供給システムの回生電力有効利用および電圧降下対策として、直流電気鉄道用超電導き電ケーブルと、超電導磁気軸受を用いた電力貯蔵フライホイールの開発を進めた。またシステムチェンジとしてき電電圧の高電圧化、新素子適用による新しい電力供給方式の開発によるエネルギー効率の向上、自然エネルギー・蓄電装置などの分散化電源による電力供給信頼性向上を検討し、電力特性の評価、予測が可能なシミュレータを開発した。

発表者

電力技術研究部 部長  兎束 哲夫

【大課題】メンテナンスの革新

13:50~14:15
新しい状態監視保全技術 ※2

鉄道設備の各種設備の状態変化を継続的に監視することで、列車運行の安全確保と保全作業の効率化を目的として、高架構造物、軌道、電車線などを対象とした状態の監視手法を開発した。また、共通的な基盤技術として、状態監視のための保守情報ネットワークの設計手法、データに基づいた設備状態変化の予測手法を開発するとともに、実橋梁を使用した試験による検証を行った。

発表者

信号・情報技術研究部 部長  平栗 滋人

14:15~14:40
構造物のリニューアル技術の革新 ※2

建設後長期間経過した構造物の延命化や補強だけでなく、機能の向上も目指したリニューアル技術を開発した。地下駅において新旧躯体の接続により空間を拡張する技術、高架駅において柱置換により高架下空間を拡張する技術、膜屋根やシェルター型ホームにより快適性を向上する技術を開発した。また、高架区間での騒音・振動を低減するため、中間スラブの補強技術や、防音壁嵩上げに対応した張出しスラブ補強技術を開発した。

発表者

構造物技術研究部 部長  谷村 幸裕

14:40~15:00
休 憩

【大課題】鉄道ネットワークの維持発展 

15:00~15:25
車内快適性の評価・対策 ※2

車内の快適性の向上を目的として、振動乗り心地や車内騒音に関する研究に取り組み、以下3点の提案を行った。①振動や音に対する旅客の感覚特性を調査し、乗り心地の総合推定値と車内騒音の不快度推定式を提案した。②乗り心地向上のための複数の運動モードの影響を考慮した振動制御システムと新しい車体傾斜機構を提案した。③音質など乗客の感覚特性を考慮し、音源から客室内への伝搬経路に対する新たな対策を施した低減手法を提案した。

発表者

人間科学研究部 部長  小美濃 幸司

15:25~15:50
高速化のための沿線環境の評価・対策 ※2

鉄道の高速化を進めるためには、沿線環境への影響を増大させないことが求められる。本課題では、今後特に低減が必要となる空力騒音と地盤振動の現象を主な対象として、予測評価手法および低減技術に関する研究開発を進めた。空力騒音については、実験的評価手法の開発と低減手法の基礎研究を行った。地盤振動については、予測シミュレーション手法の高精度化・高機能化を進めた。さらに、材料技術を活用し、風圧緩和型防音工などの新しい騒音・振動対策の開発も行った。

発表者

環境工学研究部 主管研究員  飯田 雅宣

15:50~16:15
交通結節点における移動円滑化 ※2

鉄道の乗り継ぎ、他交通機関との接続などにおける移動抵抗を低減し、鉄道ネットワークの価値を向上させるため、移動抵抗、都市間の旅客交通ネットワーク、情報提供と旅客行動を定量的に評価できる手法の開発を行った。また、駅だけでなく、列車運行について、詳細な条件を反映した走行を模擬し、旅客や経営など多様な視点から評価できる手法を開発した。

発表者

信号・情報技術研究部 部長  平栗 滋人

【大課題】鉄道シミュレータの構築

16:15~16:40
鉄道シミュレータのコアシステムの設計・開発 ※2

本課題では、鉄道システムの力学的挙動を個別に再現するシミュレータ群を、最終目標である高機能鉄道シミュレータのコアシステムとして位置づけ、鉄道の地震被害を予測する地震災害シミュレータ、パンタグラフ等の車両部品の空力特性ならびに空力音特性の予測評価を行う空気流・空力音シミュレータ、列車走行を模擬するバーチャル鉄道試験線プロトタイプの開発を行った。

発表者

鉄道力学研究部 部長  池田 充


司会:富岡 隆弘 (企画室 企画 課長)

都合により、プログラムを変更することがあります。

※1 第292回月例発表会(8月19日東京開催)と同じ内容の発表です。
※2 第293回月例発表会(9月7日東京開催)と同じ内容の発表です。

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