第300回 鉄道総研月例発表会

日時 2016年05月18日(水) 13:30〜16:55
場所 日本工業倶楽部 大会堂
主題 電力技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表概要

13:30~13:45
電力技術に関する最近の研究開発

北海道新幹線開業後しばらくは新線開業が予定されていないことと、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)以来の電力料金高騰が続いていることから、電力技術に関する最近の研究の中心は、省エネルギーと省メンテナンスおよび安全性向上となっている。鉄道総研の2015~2019年度の基本計画に基づく鉄道の将来に向けた研究開発の関連研究課題を中心に、電力分野の研究開発の概要と今後の展望について紹介する。

発表者

電力技術研究部 部長  兎束 哲夫

13:45~14:10
電力変換装置を用いた高電圧直流き電方式による損失低減効果

直流き電方式は、交流き電方式と比較して相対的に低電圧・大電流のシステムであり、電車線やレールの抵抗によるき電損失が大きくなる。直流き電方式の高効率化にはき電電圧の高電圧化が望ましいが、電気車のコスト増や電圧切替への対応といった問題がある。このため、本研究では高電圧き電線と直流-直流電力変換装置を用いて電気車への供給電圧を変えずに高電圧化の様々な利点を得られる新しいき電方式を対象として、シミュレーションによって主に省エネルギーの観点から基本的な特性を明らかにしたので紹介する。

発表者

電力技術研究部 き電研究室 室長  重枝 秀紀

14:10~14:35
変電所の接地構造改良による耐雷性の向上

変電所等において制御装置の電子化が普及し、雷の影響を受けやすい状況にある。このため、変電所等に埋設される接地構造について、耐雷性の向上を目的とした新たな構造を提案した。本構造は、円形断面の電線に代えて扁平な矩形断面の電線を用いることでサージインピーダンスの低減を図るとともに、被覆付電線を併用する二層構造とすることで等電位性の向上を図るものである。現地試験の結果、サージインピーダンスが従来の約1/2に低減されること、等電位性の大幅な改善が可能であることを確認したので紹介する。

発表者

電力技術研究部 き電研究室 副主任研究員  森田 岳

14:35~15:00
集電系材料の摩耗メカニズムと支配要因の解明

電気鉄道の集電システムとして電車線とパンタグラフがあり、直接接触するトロリ線やパンタグラフすり板などの集電材料は、主に摩耗によって寿命を迎える。この摩耗に対する抜本的な対策を提案するためには、摩耗メカニズム解明が必須である。ここでは、近年明らかになった集電材料の摩耗形態と、その遷移機構を理論的に解明し、集電材料の摩耗を支配する要因を特定したので紹介する。

発表者

電力技術研究部 集電管理研究室 主任研究員  山下 主税

15:00~15:15
休 憩

15:15~15:40
亜鉛めっき鋼管製電車線路支持物の腐食劣化状態評価

亜鉛めっき鋼管は電気鉄道の架空電車線支持物に多用されている。その表面の腐食劣化は目視で確認することができるものの、内部は工業用内視鏡を用いることも可能だが、現場での検査は困難である。そこで、対象を可動ブラケット主パイプ等に絞り、その腐食部位や腐食形態を明らかにし、重点的に検査を行うべき箇所の抽出に資するため、電車線路設備撤去品の鋼管腐食劣化状況を調査した。調査により一律の傾向を認めることができなかったが、パイプの上部内側が著しく腐食する例があることが明らかっとなったので結果を紹介する。

発表者

電力技術研究部 集電管理研究室 副主任研究員  臼木 理倫

15:40~16:05
曲線引金具のひずみ計測によるすり板段付摩耗の検知手法

パンタグラフのすり板に生じる段付摩耗はすり板や舟体の破損の原因になり、これに伴う電車線の損傷により長時間の運転阻害を引き起す可能性があるため、その早期発見が求められている。そこで、従来手法に比べて少ないセンサにより効果的に段付摩耗を検知可能な、曲線引金具のひずみ計測による段付摩耗検知手法を開発した。また、段付摩耗検知システムを構築するために必要となる、小型・軽量、省電力のテレメータも開発した。本発表では、所内試験とフィールド試験の結果を交えながら開発した手法とテレメータについて紹介するとともに、営業線への適用案を示す。

発表者

鉄道力学研究部 集電力学研究室 副主任研究員  小山 達弥

16:05~16:30
コンクリート電柱の取替基準

コンクリート柱が電化柱等として採用されてから50年以上が経過し、初期のものは老朽期に達しつつある。しかしながら、残存寿命が明確でなく、取替計画策定の根拠となる判定基準が求められている。本発表では、老朽期に差し掛かったコンクリート柱の調査結果から劣化変状や劣化機構を把握するとともに、営業線で撤去した柱の曲げ強度試験や材料分析の結果から取替の判定方法とその基準を提案したので紹介する。

発表者

電力技術研究部 電車線構造研究室 副主任研究員  常本 瑞樹

16:30~16:55
大規模地震時における砂詰基礎電化柱の動的解析モデルと耐震評価

高架橋上にある電化柱の基礎には、砂の摩擦等による減衰作用を利用した砂詰基礎が用いられている箇所がある。しかし、大規模地震時に基礎内部の砂が大変形した場合の電化柱の挙動は明らかにされておらず、現状では大規模地震に対して砂詰基礎電化柱の耐震性能評価ができないという課題がある。そこで、実物大の静荷重実験等を実施して大変形時の砂詰基礎電化柱の地震時挙動を詳細に把握し、動的応答解析をするためのモデルを構築した。さらに、電車線路設備の耐震計算に利用することが可能な応答加速度の算出手法を示したので報告する。

発表者

電力技術研究部 電車線構造研究室 主任研究員  原田 智


司会:菅原 淳 (電力技術研究部 集電管理研究室 室長)

都合により、プログラムを変更することがあります。

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