第301回 鉄道総研月例発表会

日時 2016年07月25日(月) 13:30〜16:55
場所 日本工業倶楽部 大会堂
主題 信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

13:30~13:45
信号・情報通信技術に関する最近の研究開発

鉄道総研では平成27年度からスタートした、5年間の基本計画RESEARCH 2020に合せて、鉄道の将来に向けた研究開発を推進している。この内、信号・情報通信技術に関しては、情報ネットワークを活用して、列車の運行管理と信号(列車制御)システムが緊密に連携し、列車運行や旅客流動の状況に応じた柔軟な列車運行を実現する手法の開発に取り組んでいる。本発表では、このような列車運行システムの概要、研究開発の状況を中心として、鉄道におけるICT活用に関する研究開発の方向性について紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 部長  平栗 滋人

13:45~14:10
特殊信号発光機の見通し検査システム

特殊信号発光機は、通常時は滅灯している設備であり、その視認性の検査の際には実際に発光させる必要があるため、列車運行に影響を与えることから夜間に検査をしており、人的・時間的コストが大きい。この解決策として、人間には見えない近赤外線という光を用いて、さらにその近赤外線を撮影できる特殊カメラを用いて画像認識することで、列車運行に支障せず、かつ効率的に検査を行える新しい視認性確認システムを開発した。本発表では、システムの概要と性能評価試験結果について紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 副主任研究員  長峯 望

14:10~14:35
踏切安全性向上のための車上主体制御システム

踏切事故の防止は、鉄道の安全性・安定性を確保する上で重要な課題である。踏切事故防止に関連して、これまでにも様々な対策が実施されてきているが、障害物検知から列車防護に至る総合的な対策については、取組む余地が大きいと考えられる。本発表では、現在開発を進めている無線通信を活用した車上主体踏切制御について、踏切道内を支障している場合に列車を進入させない防護手法ならびに警報制御手法を中心に、システム概要と機能確認試験結果を紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 信号システム研究室 副主任研究員  藤田 浩由

14:35~15:00
データ伝送帯域まで対応する電磁誘導予測シミュレータの開発

鉄道沿線に敷設されるメタリック通信線には、き電電圧やき電電流により、誘導電圧や誘導電流が発生し、これらの誘導現象による感電や通信品質の劣化を防ぐための対策は、誘導予測計算の結果に基づいて実施している。しかし、従来の誘導予測計算の手法では、音声周波数帯域しか扱えず、また、ケーブル構造や土木構造物中の鉄筋等の影響は、ごく簡単なモデルでしか考慮できなかった。そこで、音声帯域以上の周波数に対応でき、かつ多数の導体を考慮できる誘導予測シミュレータを開発したので、紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 ネットワーク・通信研究室 主任研究員  竹内 恵一

15:00~15:15
休 憩

15:15~15:40
Wi-SUNによる鉄道設備監視用無線センサーネットワークの性能評価

現在、設備の状態を常時監視するために、センサー技術と無線技術を組み合わせた様々なモニタリングシステムの開発が進められている。鉄道総研では、平成26年度からWi-SUNと呼ばれる国産の無線センサーネットワーク技術の鉄道への適用に関する研究開発に取り組んできた。本発表では、Wi-SUNの概要・特徴について紹介したのち、鉄道への適用可能性を評価した結果を述べる。また、Wi-SUNを活用した状態監視システムの将来像と効果についても展望を紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 ネットワーク・通信研究室 副主任研究員  流王 智子

15:40~16:05
駅および駅周辺の魅力を考慮した乗降客数推計手法

大都市圏で行われている駅構内の商業施設整備や駅周辺の再開発は駅の魅力や乗降客数に変化を及ぼすと考えられる。そこで、駅構内・駅周辺の商業・利便施設の充実度、バリアフリー設備の整備状況、列車本数など様々な要因のうち、駅の魅力に影響を与えている要因を抽出し、魅力度を算出する手法を構築したので紹介する。また、駅周辺の居住者数・就業者数・土地利用・バス乗り場などの交通施設の有無と、駅の乗降客数との関係を分析し、駅の魅力度と組み合わせた乗降客数推計手法を構築したので紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 交通計画研究室 副主任研究員  尾崎 尚也

16:05~16:30
速度規制時における運転整理手法

鉄道沿線において、大雨や強風が定められた値を超過すると、特定区間に対し列車速度が規制されることがある。速度規制が発動すると、一般的に規制の区間を通過する列車が大幅に減速するため、ダイヤ乱れが発生する。現状では、指令員の判断で必要に応じて運休、順序変更等の運転整理が行われているが、ダイヤ乱れが想定以上に大きくなることも珍しくない。そこで本研究では、速度規制時において、特に運休決定および車両運用変更についての意思決定支援を想定した運転整理手法を開発したので紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 副主任研究員  加藤 怜

16:30~16:55
電力・車両・運転分野の協調による列車運行電力シミュレータの開発

近年、電力貯蔵装置・上下タイき電などの各種省エネ地上設備や、省エネ車両の導入・省エネ運転の工夫などが進んでいる。そのため,どのような施策を実施すれば,どの程度の省エネ効果があるのかを予測可能な手法が求められてきており、鉄道総研では、電力・車両・運転の複数分野が協調し、運行計画を考慮して、消費電力を高精度に予測するための列車運行電力シミュレータを開発している。本発表では、本シミュレータの計算手法と検証について述べ、入力パラメータを変更した場合の電力推定結果への影響度合いを試算したので紹介する。

発表者
信号・情報技術研究部 運転システム研究室 主任研究員  武内 陽子

司会:福田 光芳 (信号・情報技術研究部 列車制御研究室 室長)

都合により、プログラムを変更することがあります。