第308回 鉄道総研月例発表会

日時 2017年03月06日(月) 13:30〜16:35
場所 大阪 毎日新聞社ビル オーバルホール
主題 車両技術に関する最近の研究開発/鉄道力学に関する最近の研究開発

プログラムと発表内容

13:30~13:45
車両技術に関する最近の主な研究開発 ※1

車両技術に関する最近の主な研究開発で特にIoT技術に関するテーマの中から大規模データ有効活用として「車両情報記録装置による大規模データの活用」、車両駆動装置の状態監視として「振動のオクターブバンド分析を用いた駆動用機器の状態監視手法」、ブレーキ滑走制御の高度化として「巨視すべり領域を活用した滑走制御手法の構築」について紹介する。

発表者
車両制御技術研究部 部長  山本 貴光

13:45~14:05
電気車のけん引力を向上する空転再粘着制御方法 ※1

電気車の空転検知(トルク引下げ開始)に用いる加速度信号よりも、フィルタ処理による遅れを改善した加速度信号を空転収束検知(トルク引下げ停止)に用いることで、再粘着制御によるトルク引下げ量を低減させて平均けん引力を向上する再粘着制御方法を開発した。走行試験を実施した結果、平均けん引力が5%以上向上し、量産型インバータ制御機関車HD300形式に導入された。本発表では、これらの成果を紹介する。

発表者
車両制御技術研究部 駆動制御研究室 主任研究員  山下 道寛

14:05~14:25
輪軸質量アンバランスによる車体上下振動を抑制する ヨーダンパ用緩衝ゴムの開発 ※1

輪軸の質量アンバランスによる車体加振を抑制するため、鉄道総研では台車・車体間の前後方向の結合要素における緩衝ゴムに着目し、一本リンク用変位依存性緩衝ゴムの開発に取り組んできた。今回新たにヨーダンパ用変位依存性緩衝ゴムの開発に取り組み、製作した緩衝ゴムの走行安定性能を車両試験台試験で確認した後、営業線での特急電車走行試験を行った結果、車体上下振動が低減することを確認した。これらの結果について報告する。

発表者
車両構造技術研究部 車両振動研究室 副主任研究員  相田 健一郎

14:25~14:40
休 憩

14:40~14:50
鉄道力学に関する最近の研究開発 ※2

鉄道は、車両、軌道、構造物、電車線などの複数のサブシステムからなる巨大なシステムである。そのため、車輪とレール、架線とパンタグラフ、車両と構造物など、サブシステム間の境界領域におけるダイナミクスは、鉄道システム全体の安全性に大きな影響を与える。本発表では、こうした境界領域におけるダイナミクスの現象理解ならびに問題点改善に関わる最近の鉄道総研の研究開発状況について紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 部長  池田 充

14:50~15:05
鉄道試験線を用いた脱線しにくい台車の走行試験 ※2

輪重減少抑制台車に横圧低減策を導入することで、輪重減少の抑制と横圧の低減の両面から乗り上がり脱線に対する安全性の向上を図る「脱線しにくい台車」の開発に取り組んでいる。本開発の一環として、横圧低減策をアシスト操舵システムにより構成した「脱線しにくい台車」の安全性向上効果の確認を目的に、MIHARA試験センターにおいて走行試験を実施した。本発表では、走行試験の概要と試験結果について紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 車両力学研究室 主任研究員 鈴木 貢

15:05~15:20
レール小返りおよび軌道面のロール振動に伴う レールの傾きを考慮した車両挙動解析 ※2

従来、鉄道総研開発の車両運動シミュレータ(VDS)では、レール小返りをレールの左右並進変位で表現し、軌道面のロール振動を左右レールの上下逆相の並進振動で表現してきた。本研究では、さらなる解析精度向上のため、レール小返りや軌道面のロール振動に伴うレールの傾きを考慮した車両運動解析法を提案し、曲線通過時の車両挙動解析および地震時走行安全性解析に及ぼす影響について紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 車両力学研究室 主任研究員 飯田 浩平

15:20~15:35
休 憩

15:35~15:50
アクティブパンタグラフと集電系ハイブリッドシミュレーション手法 ※2

架線・パンタグラフ間の接触力変動のうち、径間周期の変動成分の低減を目的としたパンタグラフのアクティブ制御手法を開発中である。本発表では、アクティブ制御パンタグラフの開発状況について紹介する。また、架線と接触する実機パンタグラフの挙動を定置で評価することが可能な、ハイブリッドシミュレーションシステムについて紹介し、本システムによりアクティブ制御パンタグラフの性能評価試験を実施した結果を紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 集電力学研究室 主任研究員  山下 義隆

15:50~16:05
構造最適化技術を活用した車両構体開発 ※2

車両の高性能化に伴い、構体の軽量化、高剛性・高強度化などの要望がある。しかし、これまでの骨組み構造では、構体構造を改善することが困難と考えられる。そこで、従来の車両構体構造から脱却し、新たな構体構造の提案を行うため、構造最適化技術を適用した検討を行っている。ここでは、構造最適化手法の概略の説明と本手法による従来構体構造と比較し軽量化、高剛性化された構体構造の開発状況についてご紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 計算力学研究室 室長  高垣 昌和

16:05~16:20
粘着力に対する落葉の影響調査 ※2

山間線区の勾配区間では、秋季の落葉による車輪の空転・滑走が発生し、列車の定時運行に支障をもたらしている。対策法として車上から増粘着材を噴射しているが、さらに改善が求められている。増粘着対策の実用に資する知見を得るため、落葉による粘着力の低下メカニズムを解明する必要がある。本報告では、落葉条件下の室内基礎試験および構内車両走行試験による粘着挙動の調査結果を示し、粘着力の低下要因に関する考察結果を紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 軌道力学研究室 室長  陳  樺

16:20~16:35
マルチボディダイナミクスを用いた走行車両と軌道, 構造物等の接触解析法の構築 ※2

大規模地震発生時に走行車両が脱線し、ギアケースや車体といった車両の一部が、軌道や構造物等の地上設備に接触することが考えられるが、これまでその影響については十分な検討が行われていない。本研究では、上記の影響を考慮した地震時車両挙動を表現可能な解析手法の確立を目的とし、走行車両と軌道、構造物間での動的相互作用力を効率良く解析可能な接触評価手法を構築した。本発表では、これらの成果を紹介する。

発表者
鉄道力学研究部 構造力学研究室 副主任研究員  後藤 恵一

司会:宮本 岳史 (鉄道力学研究部 車両力学研究室 室長)

都合により、プログラムを変更することがあります。

※1 第306回月例発表会(1月18日東京開催)と同じ内容の発表です。
※2 第307回月例発表会(2月13日東京開催)と同じ内容の発表です。