レーザドップラー式測距装置を使った高精度電柱位置検知装置の開発

 電車線の諸設備を、走行する電気検測車上から検測する場合、地点情報の基準に電柱位置を利用しています。その電柱位置の検出には、通過する電柱を光学的に検知する方法と、走行距離と電柱の地点データから論理的に検知する方法を併用していますが、前者は電柱と他の構造物との区別が、後者は走行距離の測定精度に正確さが求められる事が課題となっていました。
 鉄道総研は、後者の方法を基本として、走行距離の測定部分にレーザドップラー式速度距離測定器を用いたシステムの開発を進め、本システムを実用の場に供するため、平成7年からは、在来線や新幹線での電気検測車による性能確認試験を重ね、その後、JR東海殿と「電気軌道総合試験車T4編成(新型ドクターイエロー)」への導入を照準とした共同研究を実施し、ATCの地上子信号をによる距離補正、センサの二重化、フェール時の補完回路の設置、衝撃・汚損からの保護強化により実用化することが出来ました。
 これにより、従来のシステムでは煩雑となる距離補正が無くなるなど検測員の負担を軽減させるとともに、測定誤差も生じない事から、保守現地における設備異常箇所が容易に発見する事が出来るようになり、保全の効率化や信頼性の向上に寄与しています。


写真1 現車試験時における装置外観

写真2 本システムを導入したT4編成
(写真提供 東海旅客鉄道梶j


(財)鉄道総研 島田研究室長からの受賞コメント

 今回受賞した「レーザドップラー式測距装置を使った高精度電柱位置検知装置」は、東海旅客鉄道株式会社の新しい新幹線用の電気軌道・総合試験車に1セット実用化しただけなので、鉄道電気技術賞の最優秀賞に選ばれるとは考えておりませんでした。
 この受賞を期に、さらに鉄道に役立つ研究開発に全力を傾けていく所存であります。

JR東海梶@北原主席からの受賞コメント

 試験検測車にとって距離情報は必要不可欠な情報です。非常に誤差が少ないこの装置で測定データを的確に把握することができるようになりました。今後もこの装置を大いに活用し、新幹線の安定輸送を確保していきます。



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