平成15年度 文部科学大臣賞【研究功績者】

受賞業績:新しいシールドトンネルセグメント覆工設計方法の研究
受 賞 者:小山 幸則(こやま ゆきのり)
 
【業績】
  シールド工法は、都市トンネル建設のために必要不可欠な技術であるが、その構造部材であるセグメント覆工の設計法は、トンネル周囲の荷重を土質、土被りおよび水圧で一義的に定める「慣用法」により行われていたため、過度な安全余裕を有し、工事費に占めるセグメント覆工のコストが大きくなり、NATM工法の1.5〜2倍程度となる問題点が指摘されていた。
  氏は、シールド工法のコスト縮減を図るため、現場計測による実トンネルおよび実地盤の挙動等を調査・分析し、それらの結果を踏まえて、トンネルに作用する土・水圧の方向・大きさとトンネル周囲の地盤との相互作用力が、トンネル周囲の地盤状態やトンネルの変形形状に依存することを解明した。また、これら知見を用いて、実トンネルの挙動を論理的に解析し、それに基づく合理性、経済性に優れた「新設計法」を構築した。
  本成果は、運輸省監修の「鉄道構造物等設計標準・同解説(シールドトンネル)」に採用され、都市部の鉄道シールドトンネルの設計に用いられている。また、今後、都市部に建設される大深度地下トンネル等、都市部における公共交通システムの整備に寄与することが期待されている。

 
【受賞者からのコメント】
  日本のシールドトンネル技術は、世界最高のものと認められていますが、施工技術に比べて、理論や設計法がやや遅れていると感じていました。遅れている部分を少しでもよくしたいと思いましたが、未だ多くの課題が残っています。これからも、日本の技術が高い評価を維持できるように力を尽くしたいと思っています。


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