高速鉄道車両用の超電導主変圧器の試作
−高温超電導線材(ビスマス系)を用いた主変圧器−

平成17年 5月16日
財団法人 鉄道総合技術研究所

 財団法人鉄道総合技術研究所(理事長:秋田雄志/東京都国分寺市)では、超電導技術を利用して、小型軽量な高速鉄道車両用の主変圧器の研究開発を進めてきました。この度、新幹線等の高速鉄道で使用される架線電圧25,000Vに対応し、最大出力3.5MVA級の主変圧器を世界で初めて試作しましたのでお知らせします。

 交流電車等に使用される主変圧器は、架線に流れる高圧の電気をパンタグラフで受けた後、列車の駆動や空調機等の旅客サービス用の電圧に下げるための機器で、車両に搭載するため、小型・軽量であることが望まれます。
 今回試作した主変圧器の最大の特長は、通常銅またはアルミニウムを使用している主変圧器の巻線に高温超電導線材(ビスマス系)を使用していることです。同じ断面積で比較した場合、ビスマス系超電導線材は、銅などに比べ大きな電気を流すことができるため、軽量にすることが可能になりました。また、冷却には安価で取り扱いの容易な液体窒素を使用しています。
 通常の主変圧器は電車の床下に取り付けられますが、今回のものは開発の第一段階として、床上に設置する構造として試作しました。この主変圧器の超電導状態での最大出力は3.5MVA相当であり耐電圧試験の結果も良好で、高速鉄道車両用主変圧器の電気的要求仕様に対応できるレベルのものとなっています。今回試作した主変圧器の交流損失は6.2kWですが、理論的には小さくすることが可能であり、この損失の低減と小型大容量の冷凍機の開発が進めば、軽量で高効率な高速電車用主変圧器としての実用化が期待されます。
 この研究開発の一部は、国土交通省の補助金により行いました。

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