平成19年度 文部科学大臣表彰 【若手科学者賞】

受賞業績:数理物理法を用いた地震動予測と地震対策への応用の研究
受 賞 者:室野 剛隆 (むろの よしたか)
 
【業績】

 鉄道分野の地震時安全性を向上させるために、今後予想される大地震に対する構造物の地震対策と列車の脱線対策が求められており、それに必要な設計地震動の設定と地震対策工法の開発が大きな課題となっている。
 氏は、構造物の損傷や列車の走行性が地震動の位相特性に大きく依存することに着目し、従来の研究では、その複雑さ故に手が付けられてこなかった位相特性の解明に取組んだ。数学的取扱いを工夫することで、複雑な位相を明快にモデル化し、それに基づく地震波の作成法を示した。この手法を地震対策の実務問題に展開できる工夫を行い、新しい地震対策工法の開発や、地震による列車の脱線原因究明にも貢献した。
 本研究成果は、我が国の鉄道分野の耐震評価の標準波として採用されており、地震災害・リスクの低減に大きく寄与することが期待される。


 
【受賞コメント】

 1995年の兵庫県南部地震での大被害は、私達、地震工学の研究者に多くの反省と謙虚になることを教えてくれました。今回、表彰して頂いた研究も、この地震が契機になっています。従来はその複雑さからランダム現象として考えられてきた地震動の位相に着目したわけですが、その中にある特性を見出したときには、興奮のあまり時間を忘れて研究をしました。今回の研究成果が、鉄道さらには社会全体の地震の被害軽減に微力ながら貢献できれば幸いです。最後に、本研究を進めるにあたり、多くの方々からご指導を頂きました。ここに心より感謝申し上げます。


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