新幹線のように高速で走行する列車では、台車から車体に伝わる振動と、空気力で直接車体が揺らされる振動が同時に発生するが、これらの振動を抑える方法は正反対である。前者では台車と車体の間の動きに対する抵抗力を弱くして、車体に伝えないようにするが、後者は反対に抵抗力を大きくし、台車を足がかりに車体の揺れを止める必要がある。このため、特性が一定のサスペンションでは両方に対応することができず、揺れが増加する傾向にある。
本開発は、高速走行時でも良好な乗り心地を提供するため、車体の揺れを加速度センサで検知し、台車と車体の間に取り付けた「可変減衰ダンパ」を高速で制御して、両方の振動を抑制する世界ではじめて実用化された鉄道車両用の可変減衰型振動制御システムである。また、この装置は故障時の特性を通常の防振支持装置と同じにすることで鉄道車両に要求される高い安全性を実現した。
本成果は、2006年度末において全新幹線車両の約40%で使用され、さらに採用が拡がる予定である。また、2007年に開業した台湾高速鉄道にも採用された。
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