平成20年度 文部科学大臣表彰の受賞について


平成20年 4月15日
財団法人鉄道総合技術研究所

財団法人鉄道総合技術研究所の職員が文部科学大臣表彰を受賞しましたのでお知らせいたします。
 なお、表彰式は、4月15日(火)12時から虎ノ門パストラル(東京都港区)において行われました。

平成20年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)
  受賞業績: 鉄道車両用可変減衰型振動制御システムの開発
  受 賞 者: 車両構造技術研究部
車両振動  研究室長
さ  さ き  きみあき
佐々木 君章
 
KYB株式会社
KYB資料館 館長
兼 ハイドロリックコンポーネンツ事業本部
かわさき はるひこ
川ア  治彦 氏

写 真: 写真:表彰式式場で表彰状を手にする科学技術賞(開発部門)を受賞した佐々木 君章


平成20年度 文部科学大臣表彰 【科学技術賞(開発部門)】
 
受賞業績:鉄道車両用可変減衰型振動制御システムの開発
受 賞 者:佐々木 君章 (ささき きみあき 財団法人 鉄道総合技術研究所)
川ア 治彦氏(かわさき はるひこ KYB株式会社)
 
【業績】

新幹線のように高速で走行する列車では、台車から車体に伝わる振動と、空気力で直接車体が揺らされる振動が同時に発生するが、これらの振動を抑える方法は正反対である。前者では台車と車体の間の動きに対する抵抗力を弱くして、車体に伝えないようにするが、後者は反対に抵抗力を大きくし、台車を足がかりに車体の揺れを止める必要がある。このため、特性が一定のサスペンションでは両方に対応することができず、揺れが増加する傾向にある。
 本開発は、高速走行時でも良好な乗り心地を提供するため、車体の揺れを加速度センサで検知し、台車と車体の間に取り付けた「可変減衰ダンパ」を高速で制御して、両方の振動を抑制する世界ではじめて実用化された鉄道車両用の可変減衰型振動制御システムである。また、この装置は故障時の特性を通常の防振支持装置と同じにすることで鉄道車両に要求される高い安全性を実現した。
 本成果は、2006年度末において全新幹線車両の約40%で使用され、さらに採用が拡がる予定である。また、2007年に開業した台湾高速鉄道にも採用された。

 
主要特許:  特許第2872919号 「鉄道車両の横振れ制振用ダンパおよび制振システム」
   特許第3505581号 「鉄道車両の横振れ制振用ダンパ」
 
【佐々木 君章からの受賞コメント】

 本装置も開発から10年以上経過して、ようやく「特殊な装置」でなくなり、新幹線システムに溶け込みつつあるように思います。この開発は時間との戦いで、今にして思えば綱渡りの連続のようなものでしたが、設計・製作陣、試験関係者各位の強力なバックアップのおかげで完成することができました。初めてスイッチを入れて、振動が減ったときの関係者の興奮というよりは安堵を今でも思い出します。ご支援を頂いた多くの方々に深く感謝いたします。



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