第8回「日本鉄道賞表彰選考委員会特別賞」受賞について


平成21年10月15日
財団法人鉄道総合技術研究所

財団法人鉄道総合技術研究所は、新幹線の早期地震警報システムの拡充、および同技術と気象庁 殿の緊急地震速報システムを併せた緊急地震速報受信・通報システムの開発と普及に対して、第8回「日本鉄道賞 表彰選考委員会特別賞」を受賞しました。
 表彰式は10月14日(水)17時30分から ホテル グランパシフィック LE DAIBA(東京都 港区)において行われ、理事長 垂水 尚志が「鉄道の日」実行委員会(会長:中村 英夫 東京都市大学学長)より表彰を受けました。

第8回 日本鉄道賞表彰 選考委員会特別賞
  財団法人 鉄道総合技術研究所
  「揺れる前に、列車を止める!」
  選考理由
鉄道総合技術研究所は、地震検知・警報システムとして過去に「ユレダス」というものを開発しておりますが、この度、その技術を改良して、地震検知・警報の信頼性向上を図り、新幹線の早期地震警報システムの拡充を行いました。さらに、民鉄線やJR在来線向けに、この技術と気象庁の「緊急地震速報」システムを併せた「緊急地震速報受信・通報システム」も開発、普及に貢献しており、今回これらの取り組みが評価されたものです。
取組事項の紹介
  • 早期地震警報のための地震諸元推定手法の開発
     震源に近い地震計1点で観測された地震動の初期微動部(P波)1〜2秒間の振幅の変化率などから震央距離と方位を推定し、その後、初期微動部の最大振幅に応じて地震の規模(マグニチュード)を推定する方法を開発しました。従来の手法はP波初期微動部約3秒間の卓越周期からマグニチュードを推定するため、破壊時間の長い大地震のマグニチュード推定が困難でしたが、本手法は大地震の適切なマグニチュード推定を可能としました。


  • 早期地震警報用地震計の開発
     上記の地震諸元推定手法の機能を地震計に組み込み、さらに地震動とそれ以外の地動ノイズや電磁ノイズを適切に自動判別する機能を付加した早期地震警報用地震計を開発しました。また、この新地震計は電磁ノイズ等による誤作動を防ぐためのハード対策を施し、信頼性を向上させています。対ノイズ性能の向上により、従来の地震計に比べ設置条件が緩やかになりました。これまで1158台の早期警報用地震計が生産されています。


  • 早期地震警報システムの開発
     早期地震警報用地震計とこれらの情報を中継・管理する中継サーバ等から構築される早期地震警報システムを構築しました。また、このシステムのために、地震規模に応じて列車制御区間を適切に判断する手法を新たに開発しました。本システムの導入により、地震初期微動検知後、数秒以内で適切な列車制御を行うことが可能となりました。


  • 緊急地震速報を用いた早期地震警報システムの開発と普及
     気象庁と共同で緊急地震速報の開発を行うとともに、鉄道事業者が緊急地震速報を有効活用するための信頼性の高いシステムを開発しました。また、協力会社と連携を取りながら、多くの鉄道事業者を対象にこのシステムの普及を図ってきました。現在28の鉄道事業者がこのシステムを使用しています。
 
写 真: 日本鉄道表賞彰選考委員会 富澤 秀機 委員から表彰状を授与される 理事長 垂水 尚志
 
写 真: 早期警報用地震計(左) と 緊急地震速報受信・通報システム(右)
 
[日本鉄道賞表彰選考委員会]
  委員長  森地   茂 氏 財団法人運輸政策研究機構 運輸政策研究所所長
  委  員  黒野 匡彦 氏 成田国際空港株式会社 取締役兼執行役員 特別顧問
  委  員  白石 真澄 氏 関西大学政策創造学部 教授
  委  員  柳島 佑吉 氏 産業経済新聞社 客員論説委員
  委  員  富澤 秀機 氏 テレビ大阪株式会社 特別顧問
  委  員  本田   勝 氏 国土交通省鉄道局長(「鉄道の日」実行委員会副会長)
 

「日本鉄道賞」は、「鉄道の日」創設の趣旨である「鉄道に対する国民の理解と関心」をさらに深めるとともに、鉄道の今後一層の発展を期することを目的として、平成14年に創設された表彰制度です。



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