「アジア鉄道技術研究フォーラム」を開催しました

公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)は、平成24年10月25日、アジアの3鉄道事業者を迎え、「アジア鉄道技術研究フォーラム」を開催しましたのでお知らせします。

このフォーラムは、今後の鉄道ネットワークの発展が期待されるアジア諸国との鉄道技術の研究開発という観点での交流の方向性を探ることを目的に開催したものです。今回のフォーラムでは、台湾鉄路管理局(大型プロジェクト技術部 フン カン・スン 次長ほか1名)、タイ国鉄(フォラフス・マーラ 営業担当役員ほか1名)およびベトナム国鉄(車両部 グエン クオック・フイ 次長ほか2名)の3鉄道事業者7名をお迎えしました。

参加した各事業者には、それぞれが抱えている技術的な課題と、それを踏まえた鉄道総研への期待などについてお話しいただき、その後、鉄道総研の研究者とディスカッションを行うという形で進行しました。鉄道総研としては、各事業者が置かれている地域的な条件とそこで発生している具体的な課題を知ることにより、必要とされている技術やそれについての研究開発要素について認識し、今後の交流の方向を検討する材料とすることができ、参加事業者においては、鉄道総研が得意とする研究開発分野や技術的ポテンシャルを知っていただく機会となりました。

今回のフォーラムの特徴は、国際会議でよく見られる論文発表中心の形ではなく、事業者からの話題提供を簡潔に5分間で行っていただき、提起された課題に対してのディスカッションを30分間かけて行うという形にしたことです。これは議論を十分なものとするためで、各話題に対応した鉄道総研の研究開発の紹介も交えながら、参加者が議論を掘り下げられるようにしました。台湾鉄路管理局からは車両技術、構造物技術に関する3件、タイ国鉄からは電力技術、情報技術などに関する3件、ベトナム国鉄からは電力技術、車両技術、構造物技術に関する5件の合計11件の話題提供を行っていただき、電力、運輸、車両および施設の4分野に分けてディスカッションを行いました。各事業者から提示された課題は、日常の鉄道事業に直接係わる問題だけに、多岐に渡っていました。また、ひとつの問題についても、いろいろな分野からの考察が必要となり、多くの分野の研究者を持つ総合研究所であることを生かした議論の場を提供できました。

日本とは異なる環境にある鉄道事業者の問題点に接することは、研究者としても貴重な機会であり、技術の一般性を向上させるよい機会でもあります。また、議論主体の会議ということで、参加事業者も現場の事情に精通した技術者を派遣しており、これまではお会いする機会のなかった方々と交流できたことも成果の1つでした。 鉄道総研としては、今回の経験も踏まえ、今後とも研究開発を行う組織としてアジア諸国との交流を深められるよう活動していきたいと考えています。

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写真 フォーラム開会にあたり挨拶する
鉄道総研専務理事 熊谷則道
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写真 ベトナム国鉄による運輸分野の話題提供を受けてのディスカッション
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写真 ディスカッション終了後の参加者