空気ばねの減衰制御システム

空気ばねの絞り開度を制御して、車体の上下振動を低減するシステムを開発しました。

鉄道車両の車体支持に広く用いられている空気ばねは、空気ばね本体およびそれと連結された補助空気室に封入された空気によって柔らかいばね特性を実現し、両者を結ぶ空気通路に設けられた固定絞りによってその減衰を得るようにしたもので、優れた乗り心地を提供しています。しかし、空気ばねと車体で構成される系の固有振動数は1Hz付近にあることが多く、さらに上下方向の乗り心地を向上するにはこの低周波振動を低減することが望ましいと考えています。そこで、空気ばねの絞りを制御してこの振動を低減するシステムを開発しました。絞りの開口面積を可変にするため、絞り制御弁(図1)を開発しました。さらに絞り制御弁を内蔵できる空気ばね(図2)を開発し、加振試験を行いました。図3に示す応答特性から分かるように、絞りの開度を変化させることで加振周波数に対して種々の特性を得ることができます。このような特性を利用して、車体の上下加速度、空気ばねの上下変位をもとにスカイフック制御を行い、車体の上下並進およびピッチングモードの振動を低減します。絞り制御による振動低減効果の一例を図4に示します。

図1 絞り制御弁
図2 絞り制御弁を内蔵した空気ばね内部
図3 絞り制御弁内蔵型空気ばねの応答特性
図4 絞り制御による振動低減効果

この空気ばねを実際の新幹線車両に取り付け、走行試験を実施しました。システム構成は図5のとおりです。時速300km一定速で5kmの区間を走行したときの振動低減効果を図6に示します。絞り制御によって約1~3Hzの振動を低減できました。

図5 走行試験におけるシステム構成
図6 走行試験における振動低減効果

参考文献

  1. 風戸昭人, 菅原能生, 小金井玲子, 眞田一志:絞り制御弁内蔵型空気ばねを用いた鉄道車両の車体上下振動低減:第2報,一車両モデルのシミュレーションと実車走行試験による性能検証結果, 日本フルードパワーシステム学会論文集, Vol. 43, No. 4, pp. 93-101, 2012
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