軸重移動を考慮した空転再粘着制御方法の開発

空転した動軸の影響により、他の健全軸に空転を誘発させる現象を抑制する再粘着制御方法を開発し、電気機関車のけん引力が向上しました。

電気機関車のある軸で空転が発生したときや再粘着制御が行われるときに、空転した軸の伝達力が変化し、伝達力を受ける台車や車体にピッチングを起こす回転モーメントが働きます。その結果、粘着状態(空転していない状態)にあった他の軸に軸重の変化が生じ(軸重移動)、空転が誘発され易くなります。空転軸からの軸重移動に伴う他軸の軸重の変化を考慮した再粘着制御が実施できれば、粘着力を有効に活用することが可能となります。

今回、空転軸が引き起こす軸重移動を考慮し、空転誘発の抑制を目指す制御方式を開発しました。具体的には、空転軸の加速度に基づき、他軸のトルクを増減して、動的な軸重移動補償を行います。この制御方式をEH200形式直流電気機関車に適用し、空転誘発を抑制する再粘着制御系を構成しました(図1)。

図1 軸重移動を考慮した空転再粘着制御系

制御の有効性を確認するため、散水空転試験を実施しました(図2)。その結果、起動時における全軸の空転回数(空転再粘着制御実施回数)は平均で約20%低減し、平均牽引力は約4%向上し(図3)、空転頻度を低減しつつ牽引力を向上できることを確認しました。

図2 実機関車による空転試験
※日本貨物鉄道(株)殿の許可を得て鉄道総研職員が撮影した写真を掲載しています。
図3 空転回数と平均牽引力

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参考文献

  1. 山下道寛、添田正:電気機関車の空転頻度低減制御法の開発、R&M・社団法人日本鉄道車両機械技術協会、18巻11号722通号、2010年
  2. 山下道寛、添田正:電気機関車の空転頻度低減制御、Jrail2009・日本機械学会、2009.12
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