鉄道車両用プラスチックICの劣化寿命推定

主回路インバータ装置のプラスチックICについて、保守のための基礎データとなる平均故障率を加速試験により推定しました。

鉄道車両では、一つの部品の故障が線区全体の運行や安全に影響する場合があるため、使用する電子部品の高信頼性を確保することは極めて重要です。最近の鉄道車両の電子部品の使用は、主回路インバータ装置、補助回路インバータ装置、ブレーキ制御装置、空調装置、運転保安装置など広範囲にわたっており、使用条件や環境条件は、床下機器の一部として使われるなど、一般民生品と異なります。また、民生品では使用年数が10年程度であるのに対して、鉄道車両では30年、40年と長いことなどの違いがあり、寿命や保守のあり方は確立されていません。

このような背景から、鉄道車両用電子部品の中で信頼性上重要なプラスチックIC(SRAM、図1参照)を取り上げ、劣化モード(図2)と加速寿命試験方法(図3)について検討してきました。

図1 プラスチックIC (SRAM)
図2 プラスチックICの劣化モード
図3 劣化モードと加速試験

3種類の加速寿命試験(温度サイクル試験、高温試験、プレッシャクッカ・バイアス試験(図4))結果から、主回路インバータに使用されているプラスチックICの発熱や吸湿の面からの劣化寿命を推定しました。

図4 プレッシャクッカ・バイアス試験の状況

試験結果から、想定した使用環境と故障モードに対するこのICの40年間の平均故障率は 21[FIT](21×10-9[h])であると推定され、アルミ電解コンデンサ、絶縁アンプ、AVR、光電変換関係部品、光ファイバと比べると長い寿命であることがわかりました。

参考文献

  1. 福田典子:車両用プラスチックICの寿命評価、鉄道総研報告、第19巻、第5号、pp.11-16、2005.05
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