在来線交流電車のバッテリーハイブリッド化

交流架線で充電した電力で非電化路線を走行できるバッテリーハイブリッド交流電車の主回路技術を開発しました。

1.試験車開発の概要

在来線交流電車にリチウムイオン電池システム(1,382V-60Ah)を追加搭載し、非電化路線を走行可能な蓄電池電車(試験車)をJR九州、日立製作所、GSユアサと共同開発しました(図1)。既存交流電車床下への追加機器搭載を可能とするため、コンパクトな主回路構成を提案し採用されました(図2)。想定される用途は、交流電化路線と非電化路線(蓄電池容量に応じた路線長)の直通運用や、充電所を備えた非電化路線での運用です(図3)。既存気動車と比較して環境負荷低減やメンテナンスコスト低減が期待できます。

図1 JR九州817系交流電車を改造した蓄電池電車(試験車)
※九州旅客鉄道(株)殿の許可を得て鉄道総研職員が撮影した写真を掲載しています。
図2 蓄電池電車(試験車)主回路の特徴
図3 蓄電池電車の想定用途

2.走行試験結果

2013年度に実施した走行試験によって、蓄電池のみによる航続距離や交流架線からの急速充電特性を確認しました。春期に空調を不使用とした場合の航続距離は約30kmとなり、折り返し駅での急速充電では8分間でほぼ満充電まで回復しました(図4)。夏期や冬期には空調条件や最高速度の影響で最短20kmとなりました。この他にも、蓄電池の温度上昇や急速充電の所要時間、急速充電時におけるトロリ線温度など、蓄電池電車が必要とする基本性能を検証し、量産車設計に向けた知見を得ました。

図4 蓄電池のみによる走行試験と急速充電試験の波形例(空調不使用とした場合)

3.ハイブリッドLRVの適用例

試験車の走行試験結果を踏まえて課題を抽出しました。今後の設計に向けて取り組むべき課題としては、蓄電池搭載量の増加、急速充電時間の短縮、さらなる省エネ化技術の適用などが挙げられます。これらを通して、バッテリーハイブリッド電車の信頼性や経済性の向上が期待できます。

本開発の一部は、九州旅客鉄道(株)が国土交通省の鉄道技術開発費補助金の交付を受けて実施しました。

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参考文献

  1. 田口義晃、畠田憲司、金子貴志、木村卓美:交流電車の蓄電池電車化に向けた主回路方式の開発、電気学会論文誌D(産業応用部門誌)、Vol.135、No.4、pp.403-410、2015.04
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