パワー半導体の劣化評価法

主回路インバータ装置等に使用されている高電圧・大電流パワー半導体の劣化評価法を提案しました。

鉄道車両において、主回路インバータ装置(図1)等に使用されているパワー半導体モジュールの不具合は、運行に影響を及ぼす場合もあり、劣化調査の重要性が高まっています。そのため、装置の保守や更新工事の基礎データとしての活用を目指し、開発段階では予測が難しい経年によるパワー半導体の特性劣化を非破壊で定量的に評価する研究に取り組んでいます。劣化評価により取替え時期を明らかにできれば、車両不具合の発生防止や設備投資計画に寄与すること等のメリットが得られます。

図1 主回路インバータ装置の一例

絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下、IGBT)のように、複数材料から構成されるモジュール型デバイスの劣化を評価する場合は、電気的特性に加えて、半導体チップの放熱特性に係る熱抵抗特性も重要な項目の1つです(図2)。熱抵抗特性の劣化は、経年に対して穏やかに進行すると予想され、その変化を捉えられれば、メンテナンスに活用できる可能性があります。しかし、精度よく熱抵抗を算出することが困難であったため、測定方法の検討を行ってきました。

IGBTモジュールの断面構造例と不具合要素
図2 IGBTモジュールの断面構造例と不具合要素

車両用IGBTモジュールについて、検討した熱抵抗測定方法を適用し、電気的特性とともに劣化評価を試みました。その結果、電気的特性に変化が見られない場合でも、熱抵抗特性からIGBTモジュールの劣化の進行を捉えることができ、更に内部材料の劣化部位の推定を行える可能性があることがわかりました。

本手法は、IGBTモジュールを調査した後、再度インバータ装置に搭載できます。そのため、経時変化から劣化状況を把握し、定量評価を行うことが可能であり、劣化との相関を明らかにすることで、取替え時期の精度向上に役立つことが期待できます。

参考文献

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