車両等の衝撃を受けた桁の運転再開指標の検討

桁下を通過する自動車等の衝突により鋼桁に変形が生じた場合に、運転再開の判断の目安となる桁の健全性の評価手法を提案しました。

1.はじめに

架道橋において、桁下空頭の制限高さを超えた自動車(重機等)が鋼桁に衝突して桁が変形し、列車の抑止あるいは徐行を行う事例が生じています。そのため、現地で可能な限り簡易にかつ客観的に運行再開を判断できる手法が望まれています。そこで、鋼桁が変形した場合の耐荷力やひずみが生じた鋼材のじん性に関する検討を行い、自動車等の衝突を受けて変形が生じた鋼桁の健全性の評価手法を提案しました。

2.変形による鋼桁の耐荷力への影響

自動車等が鋼桁に衝突すると、桁全体が変形したり、下フランジ等が局部的に変形します。桁が変形した場合に、桁の耐荷力にどの程度影響を及ぼすかについて検討を行いました(図1)。その結果、桁全体が横方向に変形する場合、変形量が支間の1/200程度以下であれば、桁の耐荷力はほとんど低下しないことがわかりました(図2)。また、下フランジの局部変形が生じても、桁の耐荷力がほとんど低下しないことがわかりました。

図1 (a) 3次元FEM解析例
図1 (b) FEM解析結果動画
図2 水平変形量と桁の耐力の関係

3.ひずみ付与による鋼材のじん性への影響

局部的に変形した部位では鋼材にひずみが生じています。鋼材は、ひずみを付与すると、じん性が低下、すなわちもろくなる性質があります。そこで、最近の鋼材から古い鋼材まで種々の鋼材について、ひずみを付与した後にシャルピー衝撃試験を実施しました。その結果、最近の鋼材ではひずみ量5%以下、古い鋼材ではひずみ量3%以下であれば、ひずみによる鋼材のじん性の低下の程度は限定的であることがわかりました(図3)。

図3 鋼材の予ひずみによる影響

4.変形を受けた鋼桁の健全度評価の提案

一連の検討結果を踏まえ、自動車等により鋼桁に変形が生じた場合に、運転再開の判断に資するための鋼桁の健全度の評価方法を提案しました(図4)。

図4 変形を受けた鋼桁の健全度評価

参考文献

  1. 池田学、北健志、木村元哉、中山太士:鉄道橋に用いられた古い鋼材の予ひずみによる材料特性への影響、鋼構造論文集、Vol.19、No.73、2012.03
  2. 中山太士、木村元哉、池田学、北健志、長嶋文雄、松井繁之:衝突により局部変形した鋼鉄道橋の運転再開評価法の策定、土木学会論文集A、Vol.66、No.3、2010
  3. 中山太士、木村元哉、池田学、相原修司、長島文雄、松井繁之:衝突変形を受けた鋼I 形リベット桁の残存耐荷力の評価、土木学会構造工学論文集、Vol.54A、pp.68-79、2008
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