鋼鉄道橋における振動発電を利用したモニタリングシステムの開発

鋼鉄道橋における振動発電を利用し、商用電源やバッテリを使用しないモニタリングシステムを開発しました。

1.はじめに

近年、構造物の老朽化が叫ばれる中、検査の省力化や高精度化を目的としたモニタリングシステムが注目されています。モニタリングシステムの電源はバッテリなどが使用されますが、定期的なバッテリ交換に必要な労力やコストが問題となります。

そこで、鋼鉄道橋の部材における振動発電を利用したバッテリレスのモニタリングシステムを開発しました。この振動発電は、列車通過時の部材振動を利用して圧電素子による発電を行うものであり、バッテリ交換の様な定期的なメンテナンスが不要なため、モニタリングシステムの運用コストの低減が図れます。

以下に、これまでに開発してきた2種類のシステムを紹介します。

2.振動発電を利用した異常検知システム

列車通過時の振動発電を利用してセンシングや、センシング結果の無線送信を行うモニタリングシステムを開発しました(図1)。無線送信されたセンシング結果は、橋梁上を通過している列車で受信します。

このシステムは、例えば、疲労き裂などの異常を早期に検知する用途が考えられます。検査員が列車に受信機を持って乗るだけで、橋梁上を通過する際に無線送信されるセンシング結果を受信して回収することができます。

試作したプロトタイプシステムを橋梁に設置し、列車通過時の動作を検証しました(図2)。検証の結果、列車通過時の振動発電により得られる電力でセンシング、無線送信が行われ、走行している列車内でセンシング結果を受信できることを確認しました。

図1 異常検知用システムの概要
図2 異常検知用システムの設置外観

3.振動発電を利用した長期計測システム

列車通過時の振動発電を利用して、温度変化や活荷重に対する橋梁応答を長期間継続的に計測するモニタリングシステムを開発しました(図3)。振動発電で得られた電力は、電気二重層キャパシタに充電することで、複数の通過列車で電力を蓄積して利用できるようにしました。これにより、夜間間合いなど列車が通過しない時間も継続して測定を行うことが可能になり、さらに動的測定のような一度に大量の電力を消費する測定も可能になりました。

このシステムは、例えば温度変化や活荷重に対する桁変位の応答から支承の機能低下を捉える用途に利用できます。試作したプロトタイプシステムを橋梁の支承付近に設置し、変位の長期計測を行いました。その結果、振動発電で得られた電力のみで、2年以上にわたり測定が継続して行われることを確認しています。

図3 長期計測システムの概要

参考文献

  1. 吉田善紀、小林裕介、和田一範:鋼鉄道橋の振動発電を利用した充電手法の動態観測モニタリングへの適用、構造工学論文集、Vol.61A、pp.532-543、2015
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