液状化地盤中杭基礎のシートパイル補強工法

液状化が発生すると地盤は急激に剛性ならびに強度を失うため、杭基礎に大きな被害が発生します(図1)。これまでに既設杭基礎の液状化対策工法として提案されている工法は、施工性や経済性の面から適用が困難となる場合が多くありました。そこで、施工性・経済性に優れるシートパイル補強工法に先端加工鋼矢板を併用した構造を提案し(図2)、液状化地盤における補強効果を検討しました。大型模型振動実験(実構造物の1/6スケール)や遠心模型実験の結果から、補強により回転角が約30%、既存の杭頭部のせん断力が約30%低減されることを確認するとともに(図3)、本対策工法の抵抗メカニズムの解明を行いました。

また、これらの成果を踏まえて、設計手法の提案を行い、設計マニュアルを作成しました。マニュアルを基に試設計を行った結果、従来の工法と比較して約20%の工事費削減が可能であり、経済性にも優れることが確認されました。

なお、本研究は、(株)大林組、日本製鉄(株)との共同研究により実施しました。

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参考文献

  1. 戸田和秀、佐名川太亮、西岡英俊、樋口俊一、松浦光佑、妙中真治、乙志和孝:液状化におけるシートパイル補強工法の耐震設計法の提案、鉄道総研報告、第30巻、第5号、pp.47-52、2016.05