バサルト帯板接着工法

1 標準型バサルト帯板接着工法

玄武岩を繊維状に加工したバサルト繊維を樹脂で帯板上に成形したFRP帯板(図1)を接着剤でトンネル覆工に接着し、さらにアンカーと固定金具を用いて固定することで、じん性を向上させた覆工コンクリートの剥落対策工です(図2)。
トンネル覆工からの閉合ブロック等の剥落を防止することができるほか、バサルト繊維製のFRPネットを併用することで粗骨材程度の小片の剥落も防止することができます。
ケーブル等の添架物がある場合でも、それをかわして施工でき、施工後も覆工表面の検査が可能です(図3)。

2 軸力導入型バサルト帯板接着工法

さらに、アーチ部アンカー数の削減や、付着力の乏しいれんが覆工においても耐荷性能が発揮できることを目的に、従来のバサルト帯板接着工法の改良工法として、軸力導入型バサルト帯板工法を開発しました(図4)。
標準型よりも積極的に覆工面を支持する効果が期待されるほか、接着だけでなく、軸力と端部のアンカーでも荷重を保持するため、仮に接着力が失われた場合にもある程度の効果を発揮することが期待されます。
室内載荷試験により、軸力を加えることによる密着性や耐荷性能の向上を確認する(図5)とともに、実トンネルの施工試験(図6)により、良好な施工性を確認しました。

参考文献

  1. 岡野法之:FRP帯板を用いてトンネル覆工の内面を補強する、特集 施設の補修・補強技術、RRR、Vol.69、No.6、pp.16-19、2012.06
  2. 岡野法之、植村義幸、小島芳之:FRP帯板を用いたトンネル覆工の内面補強工法の開発、鉄道総研報告、第23巻、第12号、pp.41-16、2009.12
  3. 秋元 優太郎,浦越 拓野,野城 一栄,伊藤 秀治,田中 徹,鎌田 和孝:軸力を導入したバサルト帯板補修工の耐荷力に関する基礎的検討,土木学会第75回年次学術講演会,Ⅵ-742,2020.09