変電所の劣化診断技術

変電所機器の更新周期延伸は大きなコスト削減効果が見込まれますが、機器の余寿命や劣化度を判定する必要があります。 そこで、変電所機器が劣化した際に生じる過熱、機械的損傷、絶縁劣化等の異常現象について、ガス、振動、電位変化などの 計測とトレンド分析を通じて評価し、総合的に劣化診断を行う手法を開発するとともに、配電盤劣化監視診断装置を製作しました。 図1にアルゴリズムの概要を示します。

電力ケーブル等の過熱については、構成材料に含まれる可塑剤に対応したガスセンサーを採用し、可塑剤が揮発し始める温度 (例:140℃前後)から指示値が上昇することを検知します(図2)。

遮断器の機械的損傷等については、高周波に対応した圧電式振動センサーを採用し、正常動作時の圧電式振動センサーの 測定分析値を二値化したパルス情報によりパターン化し、正常時との差分累計値によって良否判定します (図3)。

密閉型変電機器等の絶縁劣化については、機器筐体表面に生じる電位変化を検知するセンサーを採用し、検出波形のレベル、 周波数帯(4~20MHz)及び周期性を確認します(図4)。

これらのデータを収集し、総合的に劣化診断を行う配電盤劣化監視診断装置の構成を図5に示します。

この劣化診断技術を用いて、個別検査、あるいは目視検査では検査が容易でない変電所機器の状態監視を支援します。また、機器の更新周期検討の参考データを提供します。