剛体電車線の狭小トンネルへの適用

狭小トンネルに剛体電車線を適用するために必要とされる仕様を検討し、試験結果から支持点間のたわみを低減する事で適用可能であることを確認しました。

山岳トンネルなどに見られる断面積の小さなトンネルではトンネル壁面と架線の離隔が小さいため、特殊なカテナリ架線が設備されています(図1)。しかしこの電車線はメンテナンスや設備の信頼性の面から弱点箇所となっており、地下鉄で採用されている剛体電車線の採用が望まれていました(図2)。これは剛体電車線がカテナリ架線よりも設備高さを低くすることができると共に、トロリ線の摩耗管理等のメンテナンス削減も可能であることが理由です。

図1 トンネル内の特殊なカテナリ架線
図2 地下鉄の剛体電車線の例

ただし、地下鉄では剛体電車線に適した特性を有するパンタグラフが使用され、さらにパンタグラフ同士を母線で連結して電気的に接続するなどの離線対策を施して速度90km/h以下で使用されています。したがって、離線対策の取られていないパンタグラフを搭載した列車や最高速度130km/hの特急列車が通過する在来線の狭小トンネルでは導入が困難でした。

そこで、狭小トンネルに剛体電車線を適用するために必要とされる仕様を検討し、鉄道総研所内の実験や営業線での試験結果から支持点間のたわみを低減する事で適用可能であることを確認しました(図3、図4)。

図3 試験の結果
図4 トンネル内の剛体電車線

この剛体電車線のトロリ線の摩耗状態調査を架設から2~3年経過後に行い、同じ線区のトンネル内の特殊なカテナリ架線と比べて局部摩耗が少ないことが確認できました(図5)。以上の結果に加えて、剛体電車線が無張力であることも考慮すれば、トロリ線張替え回数の低減が可能となり保守コスト削減の向上が期待できます。

摩耗状態の比較
図5 摩耗状態の比較

また、この剛体電車線はパンタグラフの種類や速度への適応度が向上しているので、各種トンネルに幅広く利用可能であると考えます。

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