紫外線検出式離線測定装置

車両の屋根上に設置して離線の発生状況を測定できる、紫外線検出式離線測定装置を紹介します。

1.概要

電車は、架線にパンタグラフを接触させることにより電力の供給を受けています。 実際に接触しているのは、架線側のトロリ線と呼ばれる銅製の線材とパンタグラフ側のすり板と呼ばれる金属製(鉄や銅など)、またはカーボン製の部材です。走行中に何らかの原因により両者の接触が妨げられ、トロリ線とすり板が離れることを離線と呼びます。このとき、その空隙に強い光をともなうアーク放電が発生します。アーク放電の発生はトロリ線やすり板を損耗させるとともに、騒音の原因にもなります。このアーク放電を検出するためにアークの発光を検出する光学式離線測定装置が開発されています。

これまでは、アークの光のうち可視光線領域の光を検出することでアーク光の検出を行っていました。この方法では、昼間の明るい状態での離線測定ができないだけでなく、夜間においても離線以外の光、例えば信号、駅の照明などの光を離線として誤検出する場合がありました。そこで、離線に含まれる紫外線領域の光の強度が太陽光に比べて格段に強いことに着目して、この光を検出することで周囲の光の影響を受けない測定装置(紫外線検出式離線測定装置)を開発しました。ここでは、車両の屋根上に設置して離線の発生状況を測定できる紫外線検出式離線測定装置を紹介します。なお、地上から離線を検出することのできる紫外線検出式地上離線測定装置もあり、これに関しては集電力学研究室の研究開発成果で紹介しています。

図1は従来から用いられてきた可視光線を検出する離線測定装置(可視光線検出式離線測定装置)と最近開発された紫外線を検出する離線測定装置(紫外線検出式離線測定装置)です。どちらも電車の屋根上に受光部を設置し、そこから車内まで光ファイバを敷設した後に検出器と接続します。両者を比較すると、紫外線検出式離線測定装置の受光部に紫外線・可視光線変換ユニットが取り付けられているだけで、それ以外は同じであることがわかります。すなわち、従来の可視光線を検出する離線測定装置に紫外線・可視光線変換ユニットを取り付けるだけで、その測定装置を紫外線検出式離線測定装置として用いることができるようになります。

図1 各離線測定装置の構造

2.紫外線・可視光線変換の方法

ここでは紫外線・可視光線変換ユニット内で紫外線から可視光線への変換がどのように行われているかを紹介します。紫外線・可視光線変換ユニット内での紫外線から可視光線への変換は、(1)~(3)の順番で行われます(図2)。

(1)
離線により発生したアーク光がユニットに到達する。
(2)
干渉フィルタによって離線に含まれる紫外線領域のうちの特定波長が抽出される。
(3)
紫外線量に応じた可視光線量を放出する蛍光ガラスによって紫外線・可視光線の変換が行われる。

このようにして変換された光はプラスチック光ファイバを通って車内の検出器へ送られます。

図2 紫外線・可視光線変換ユニットの構成と動作

3.可視光線検出式離線測定装置と紫外線検出式離線測定装置の測定結果の比較

ここでは、紫外線検出式離線測定装置のアーク光検出能力の検証のため、可視光線検出式離線測定装置と紫外線検出式離線測定装置の測定結果を比較したものを紹介します。

図3は、摩耗試験機と呼ばれる試験装置で回転円盤にトロリ線を取り付け、実物のパンタグラフとの間でアーク放電を発生できる装置であり、この装置の近くに可視光線検出式離線測定装置と紫外線検出式離線測定装置の受光部を設置して測定を実施しました。なお、試験を実施する際にはアーク光以外の光が入らないように照明をすべて消しています。

試験結果は図4のようになり、離線に対するそれぞれの測定装置の反応が同じ箇所で生じていることがわかります。したがって、紫外線検出式離線測定装置は従来の測定装置と同等の性能を有することがわかります。

図3 摩耗試験機における検証試験
図4 可視光線検出式離線測定装置と紫外線検出式離線測定装置の比較結果

4.電車の屋根上への取り付け

電車に測定装置を取り付けたイメージは図5のようになります。この紫外線検出式離線測定装置の開発により、従来の離線測定装置で不可能だった昼間の離線測定ができるようになり、状態監視技術への応用など、その適用範囲が大幅に広がりました。

図5 電車の屋根上への取り付けイメージ
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