切土のり面に施工された石積み壁の耐震補強技術

石積み壁の耐震補強工法として開発したピンナップ工法の特徴を概説する。

鉄道、道路、宅地などで用いられている石積み壁の耐震補強工法「ピンナップ工法」を開発しました。

ピンナップ工法は、隣り合う4個の間知石とその背後の裏グリ石をグラウト材によって一体化した固化体を形成し、この固化体を石積み壁背面の地山に鉄筋等を用いて定着させることで、石積み壁全体の地震時の安定化を図ります。

ピンナップ工法は以下のような特徴を有しています。

  1. 間知石や固化体の穿孔にはコアカッターを用い、またグラウト材の注入には小型のポンプを用います。このため、線路脇などの狭いスペースでの施工が可能です。
  2. 石積み壁の中に固化体を離散的に作るため、裏グリ石層の役目である排水機能を損なうことがありません。
  3. 石積み壁の表面に設置されるものは定着材の頭部冶具のみであるため、石積み壁が持つ景観や風合いをそのまま残すことができます。また、石積み壁の表面にケーブルや配管などが設置されている場合でも、それらを撤去することなく施工することが可能です。

また、ピンナップ工法の設計・施工マニュアルとして「石積み壁の耐震補強設計・施工マニュアル」を作成・発行しています。このマニュアルには調査方法、地震時の安定性評価方法、ピンナップ工法を適用する場合の設計・施工方法が掲載されています。このマニュアルを利用することで、石積み壁の地震時安定性を簡単に評価でき、石積み壁の勾配や高さに応じたピンナップ工法の最適な施工ピッチを決定することができます。

図1 ピンナップ工法のイメージ
図2 施工後に掘り出した固化体
図3 石積み壁の耐震補強工設計・施工マニュアル

参考文献

PAGE TOP