老朽化した吹付のり面の補修・補強工法

鉄道沿線の切土のり面には表面の侵食や風化防止などを目的とした吹付工が施工されていることがあります。
このような吹付工自体には斜面の崩壊を抑止する効果は期待されいため、亀裂や剥落といった吹付工自体の老朽化や地山の強度低下によって斜面の不安定化が進行する場合があります。

そこで、こうした老朽化した吹付工に適用する効果的な補修・補強工法として「吹付受圧板工法」を開発しました。吹付受圧板工法は以下の様な特徴を有しています。

①老朽化した既設の吹付工をはつり取ることなく、既設吹付工の上から繊維補強モルタルによる再被覆を図ることで吹付工の補修を行います。
②強度低下が懸念される地山に対して地山補強土工を施すことによって斜面を補強します。なお本工法のロックボルトの配置間隔は2.0mまでを上限とします。
③地山補強土工と繊維補強モルタルの接続部にRC構造の「吹付受圧板」を構築することによって、②における地山補強土工の補強効果をさらに向上させます。吹付受圧板の効果により、のり面工の低減係数を0.7〜1.0として設定することが可能です。

また、吹付受圧板工法の設計・施工要領として「老朽化吹付のり面の補強工 設計・施工要領-吹付受圧板工法 FSCパネル-」を作成・発行しています。この設計・施工要領を利用することで、同工法の設計の考え方、施工手順および施工上の注意点などを把握することが出来ます。

参考文献

  1. (公財)鉄道総合技術研究所:老朽化吹付のり面の補強工 設計・施工要領—吹付受圧板工法 FSCパネル—、(公財)鉄道総合技術研究所、2016
  2. 高柳剛、小井戸菜海、関栄、高橋章浩:受圧板が地山補強土の補強材間隔に与える影響の評価、土木学会全国大会、2014