鉄道貨物の潜在需要とモーダルシフトの分析手法

1.はじめに

本手法では、「鉄道輸送が可能となる潜在貨物需要分析モデル」および「貨物駅勢圏を単位とした鉄道とトラックの分担率を再現する輸送機関分担率モデル」により、ある輸送地域間のODにおける、鉄道貨物輸送の改善対策を実施することによるモーダルシフトの可能性を定量的に分析します。

2.鉄道貨物需要予測に関する二段階分析手法の開発

鉄道貨物需要予測に関する二段階分析手法概要は、図1に示します。

第一段階では、分析対象線区を通過可能な潜在貨物需要分析モデルを構築しました。このモデルでは、最初に経済統計・工業統計や物流センサスなどのデータを利用して、各地域における製造業の生産額から業種別貨物量を推定します。次に、物流センサス、鉄道輸送実績、関連地域間貨物流動などのデータや、鉄道総研が独自に整備した線区輸送データベースに基づいて、各地域の製造業陸上貨物において鉄道輸送が可能となる潜在的な貨物量を求め、さらに線区を通過可能な貨物に関する諸係数を割り出します。これにより、各地域における製造業地域間陸上貨物を対象に、当該線区を通過可能な鉄道潜在需要を推定します。

第二段階では、主要線区の関係貨物駅の駅勢圏を単位とした潜在鉄道貨物の輸送機関分担率モデルを構築しました。このモデルでは、最初に貨物駅勢圏内の製造業地域間陸上貨物において鉄道輸送が可能となる潜在貨物の現状での鉄道コンテナとトラックの分担率を分析し、各貨物駅勢圏内から発送され、かつ分析対象線区を通過可能な貨物について、輸送先ごとの機関分担率の特性を把握します。次に、貨物輸送機関に及ぼす主な影響要素として、荷主が一回に出荷し輸送する貨物量に相当する輸送ロット重量、輸送施設の利便性に相当する貨物駅や高速道路インターチェンジへのアクセス条件と荷主の貨物発送から輸送先までのドアツードア輸送時間、輸送費用などを取り上げ、これらの各影響要素の組合せにより鉄道とトラックの輸送分担率を再現できるロジスティックモデルとプロビットモデルを構築しました。

図1 鉄道貨物需要予測に関する二段階分析手法概要

3.モーダルシフトの可能性の定量化

上記の二段階分析手法を用いることにより、ある輸送ODにおいて、利用者の輸送要求、貨物輸送の実態や輸送条件などに応じた鉄道輸送の改善対策提案を実施した場合のモーダルシフトの可能性を定量的に示すことができました(図2)。

図2 ケーススタディによる陸上貨物のモーダルシフト可能性の定量化

参考文献

  1. 厲国権、その他:陸上物流実態に基づいた鉄道潜在貨物の分析手法に関する検討、日本ロジスティクスシステム学会第16回全国大会講演論文集、2013.05
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