幹線貨物鉄道が社会経済へ及ぼす影響の計測手法

1.はじめに

陸上貨物輸送はトラック輸送が圧倒的に占めていますが、鉄道輸送にモーダルシフトした場合、輸送費用の低減や二酸化炭素の排出削減といった効果があると考えられます。そこで、幹線貨物鉄道の存在価値を定量的に評価するために、その社会経済に及ぼす影響を計測する手法を開発しました。

2.鉄道貨物輸送にモーダルシフトが可能な貨物の把握

荷主や運送事業者へのアンケート調査結果や物流センサスデータを利用して輸送実態調査を行い、出荷時刻やロット重量、品類、集荷距離などのデータから、陸上貨物輸送のうち、鉄道輸送へモーダルシフトが可能である貨物を抽出しました。特に、製造業に関する品目で、貸切トラックおよびトレーラーで輸送されている貨物が鉄道コンテナ輸送での実態に似ていることがわかりました。

3.輸送費用で鉄道が優位となる距離帯を把握

貨物輸送運賃は、荷主と運送事業者との交渉により決定することが多いという特殊性を持っています。貸切トラックを用いた輸送運賃は、発送地から到着地までの輸送距離や車種(トン数)、途中の区間で鉄道や高速道路・フェリーを利用するかどうか、運送事業者の特性(荷主の子会社、系列会社かどうかなど)などの要因により決められていると考えられます。この運賃構成のメカニズムを解明するため、輸送実績データに基づき、そのモデル化(コブダグラス形と指数形との複合形の関数式:詳しくは参考文献 (1)をご覧ください)を行いました。図1にモデルを用いた分析結果の一つを示します。10トントラックとの比較によると、350km以上の距離帯では鉄道輸送の方が輸送費用が安くなることがわかりました。

図1 鉄道とトラックとの貨物輸送費用の比較

4.鉄道輸送に伴い発生する効果を試算

幹線貨物鉄道が社会経済に及ぼす影響を計測するために、上記で示したようなモーダルシフトの可能性を有する陸上輸送貨物の抽出、運賃モデルの開発のほかにも、二酸化炭素原単位の特定、物流実態データベースの整備などを行いました。そこで、鉄道輸送を採用することにより、実際にどの程度の効果があるのかを試算しました。

ケーススタディとして、太平洋側の主要幹線のある断面(対象線区)を通過する陸上貨物に着目しました。図2に示すような分析フローを得て、輸送費用の低減効果(経済的効果)、二酸化炭素の削減効果(社会的効果)について、図3に示すように試算しました。

図2 分析のフロー
図3 鉄道輸送に伴い発生する効果の試算結果
(ケーススタディ)

5.効果

開発した手法を用いて試算を行うことにより、幹線貨物鉄道利用が社会経済に与える影響、経済的効果や社会的効果に対する客観的評価が可能となりました。

参考文献

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