鉄道設備の状態監視データ分析の研究

鉄道設備の状態監視データを用いて、データの短期予測手法の開発とデータの変状予兆検出手法の開発を行いました。

1.はじめに

鉄道の構造物や車両、各種電気設備等の保守現場では様々な状態監視データが取得され、蓄積されています。これらの膨大なデータから保守作業の支援となる情報を提供するために、数理的な解析をすることによって状態監視データの短期的な変動を予測したり、状態変化の予兆を検出したりする研究を行っています。

2.状態監視データの短期予測手法

状態監視データが経験的に他のデータと関係があると経験的に得られており、蓄積されたデータからもその傾向が観察できる場合に対して状態監視データの短期予測を行う手法の開発をしました。

電気転てつ機のロック位置調整作業の支援情報としてロック調整量の目安を提供するために蓄積された転てつ機のロック位置データと気象予測から翌日以降のロック位置の変動を予測する手法を提案しました(図1)。実用化されているロック状態監視装置システムに蓄積されたデータを用いて検証した結果、転てつ機の設置条件に関わらず1日の誤差の平均が0.15mm以内に80%程度が収まることを確認しました。また、この予測手法を用いて翌日の予測変動を可視化するシステムを試作しました(図2)。試作した可視化システムでは、予測日の予測値とその前日の実績値を確認できるため、予測値の妥当性を前日の実績値からユーザーが判定することが可能となります。また、予測値の変動を表示するため、ロック位置を調整する際の参考となります。また、この可視化システムは見せ方の一例であり、表示部分についてはカスタマイズ可能です。

図1 ロック位置の短期予測手法のフローとその活用例
図2 ロック位置予測の可視化例

3.状態監視データ間の関係性を用いた状態変化の予兆検出手法

設備の状態に関する膨大な監視データから設備の状態を把握するために、複数の状態監視データ間の関係性から設備の状態変化の予兆を検出する手法の開発を行っています(図3)。開発中の手法では状態監視データ間の関係性の推移を利用することで、これまで難しいとされていた状態変化を予兆の段階で検出することを目標としています。

トンネル内に設置された温度や傾斜角といった複数のセンサのデータの関係性を分析した結果、あるセンサの傾斜角の急激な変化について、その予兆がこの変化の発生する日よりも2日前に現れることが判りました(図4)。紹介した例は一例ですが、複数の対象物に対して分析を行っていき、汎用的な変動予兆検出手法を提案する予定です。

図3 手法全体のフロー
図4 トンネルの傾斜角データを例とした手法の実行例

参考文献

  1. 川村智輝、羽田明生、岩澤永照、川﨑邦弘:状態監視データ間の依存関係に基づく状態変化予兆の早期検出手法、第21回鉄道技術・政策連合シンポジウム、2014
  2. 流王智子、川崎邦弘:電気転てつ機のロックモニタデータによるロック位置変動の短期予測、鉄道技術連合シンポジウム講演論文集、Vol.20、pp.521-522、2013
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