通信設備における雷サージの影響予測計算手法

通信設備において雷サージ対策として効果が期待できる接地の構成を検討するため、雷サージの侵入により通信設備に印加される電圧と電流を予測する手法の研究開発を行っています。

1.はじめに

近年、雷サージが原因と思われる鉄道用通信設備の被害が発生する場合があり、通信機器を雷サージから保護するための種々の対策が検討されています。これまでは、被害状況の調査結果の実測に基づいて、雷サージを接地極に逃がす方法と雷サージの通過経路を絶縁によって断つ方法を組み合わせることによって、鉄道通信設備を雷サージから保護してきました。

しかし、接地や絶縁の構成により、雷サージの進入経路も変化するため、実測結果に基づいて通信設備への影響や対策の効果を把握することは困難となっています。また、信号通信機器室に関しては、周辺に複数存在する接地極を共通化することにより、雷サージによる被害を低減できる可能性がありますが、現状では接地極の共通化による効果やリスクが定量的に把握できていませんでした。

そこで、雷サージ対策として効果が期待できる接地や絶縁の構成を検討するため、雷サージによる通信設備への影響を定量的に予測計算する手法を開発しました。

2.対象とする信号通信機器室と雷サージの進入経路

信号通信機器室に設置されている機器や機器間の接続、接地極の数は機器室毎に異なっています。典型的な信号通信機器室の検討モデル例と想定される雷サージの侵入経路を図1に示します。

図1 信号通信機器室の検討モデル例と想定される雷サージの進入経路

3.雷サージ解析モデルとモデルを用いた予測計算手法

図1に示した経路から雷サージが侵入した際に、通信設備に印加される電圧と電流を予測するための解析モデルを提案しました。図2に解析モデルの概念図を示します。また、提案した解析モデルを用いて、通信ケーブルのシースから雷サージが侵入した場合(図1の侵入経路①)に通信装置の電源側ポートと通信側ポートに発生する対地電圧を計算した例を図3に示します。

図2 通信設備の雷サージ解析モデルの概念図
図3 提案したモデルを用いた予測計算例

4.今後の計画

通信設備に対する電磁的な障害としては、雷サージ以外に電磁誘導や電力設備の地絡・短絡故障が想定されます。電磁誘導に関しては既に計算手法を提案しており、現在は、地絡・短絡故障時に通信設備に印加される電圧や電流を予測する手法の検討を行っています。

参考文献

  1. 川村智輝、竹内恵一、山口大介:鉄道通信設備の雷サージ解析モデルの検討と実測による検証、電気学会通信研究会資料、CMN-16-015、2016
  2. 竹内恵一、川村智輝、山口大介:鉄道通信設備における雷サージの影響予測手法、第53回鉄道サイバネ・シンポジウム、614、2016
PAGE TOP