電磁誘導予測シミュレータ

電気車の走行に伴う電磁誘導によって、沿線に敷設された通信線や軌道回路に発生する誘導電流・誘導電圧を予測します。

1.概要

鉄道の沿線には、列車が走行するための架線やレールの他、駅間の情報伝送のための通信ケーブルが敷設されています。電化区間においては、電気車の走行に伴って架線やレールに大きな電車電流が流れ、近傍の通信ケーブルには電磁誘導による誘導電圧が生じます。

通信回線に発生した誘導電圧は、通信品質に悪影響を与えたり、接続機器を破損したりする可能性があるため、電力設備・通信設備の新設や改良にあたっては、予測計算または実測によって通信回線に発生する誘導電圧の評価を行い、必要に応じて対策を実施しています。

近年は、メタリック通信回線を、音声通話だけでなくデータ伝送にも利用していますが、従来の予測計算では、音声通話で利用する低い周波数帯域しか扱えず、また、ケーブル構造や土木構造物中の鉄筋等の影響は、数本の導体に置き換えて計算して補正する等により誘導発生量を大きめに見込んでいました。そこで、データ伝送で利用する高い周波数帯域に対応でき、かつ多数の導体を考慮できる電磁誘導予測シミュレーターを開発しました。

2.開発したシミュレーターによる予測計算

周波数が高くなるにつれてモデルを細かく分割するとともに、大地の影響や導体の表皮効果を考慮したパラメータ計算に適切な近似式を採用する新しい手法により、予測可能な周波数帯域を拡大しました。また、従来は数十本までであった導体数の制限を無くし、計算負荷の大きなモデルに対して並列処理を導入して計算速度を向上させることで、鉄筋等の設備条件を詳細に考慮できるようになりました。

開発したシミュレーターにより、鉄道沿線に敷設された通信線や並行線路のレールに発生する誘導電圧と誘導電流を予測することができ、誘導対策にあたっての設計・施工に関わるコストの低減が可能です。

【開発したシミュレーターの特徴】

  • き電回路を構成する各導体、沿線に敷設された通信線、並行線路のレールに生じる誘導電圧・電流の分布を計算します。
  • 列車の移動、路面状態の違いによるレール漏れ抵抗の変動等の鉄道特有の条件を考慮して、回路構成やパラメータを変化させて計算することができます。
  • トンネルや高架など土木構造物中の鉄筋等による影響を考慮した計算が可能です。

図1 通信線やレールへの電磁誘導の予測計算
図2 シミュレーターによる予測結果の一例

参考文献

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