閑散線区向けの列車制御システム

閑散線区において、列車を安全かつ低コストに制御するために開発したシステムを紹介します。

1.はじめに

閑散線区向けの列車制御システムの一つに、電子閉そくシステムと呼ばれるものがありますが、設備の老朽化により維持が難しくなっていることなどの課題があります。これに対して、次の2つのアプローチでシステムの研究開発を行いました。

  1. 汎用技術を積極的に活用し、地上設備を削減する
  2. 既存設備を活用し、システム置換えを容易にする

2.汎用技術を積極的に活用したシステム

このシステムは、これまでに開発した無線列車制御システムCARATと同じ方向の考え方を基本としています。具体的には列車自身による位置検知、無線を使用した制御情報の伝送、車内での信号現示などを行い、この結果、信号機や軌道回路などの地上設備を削減します。なお、このシステムでは、GPS、ICタグ、無線LANなどの汎用技術を積極的に活用することが特徴です。

このシステムについては仕様作成を行い、所内での基礎的試験で機能の実現性を確認しました。

図1 汎用技術を積極的に活用したシステムの構成

3.既存設備を活用した「拠点無線式列車制御システム」

駅周辺などの限られたエリアで地上—車上間の無線通信を行うことから拠点無線式列車制御システムと名付けたシステムを開発しました。信号機や軌道回路などの既存設備を活用することで、大規模な設備更新が不要であり、取扱いの考え方も大きく変える必要がないため、システム置換えが容易になっています。無線には、免許が不要な2.4GHz帯の汎用無線技術を使用しています。

基本となる閉そく制御の考え方は電子閉そくシステムを踏襲していますが、車載器IDと列車番号との対応付けの新たな方法を開発し、乗務員による進路設定要求操作を解消できるなど、電子閉そくシステムの課題を解決しています。

さらに、車載器を速度照査機能付きATSと接続し、沿線に無線機を設置することで、無線情報により速度照査パターンを消去する機能などを実現できます(図3)。

また、現地試験によってシステムの基本機能が正しく動作することを確認しています。

図2 拠点無線式列車制御システムの構成
図3 踏切に対する速度照査機能の概要

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参考文献

  1. 平栗滋人、福田光芳、藤田浩由、小野雄人、岩田雄二、吉成慶介: 閉散線区向けの拠点無線式列車制御システムの開発、サイバネティクス、Vol.17、No.2、pp.50-57、2012
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