座席種別選択行動に関する研究

より柔軟な座席種別設定による優等列車の輸送力の有効活用に向けて、旅客の座席種別選択行動の特性分析を行いました。

1.概要

優等列車では多くの場合、同じ設備である座席を指定席・自由席に配分しています。しかし、その設定パターンは多くありません。一方で需要は日々変化するため、座席種別の配分が旅客ニーズと合致せず、混雑の偏りや利便性低下を招くケースがあります。これに対する解決策として、座席種別の配分の精緻化が考えられますが、そのためには、この配分自体が需要に与える影響を考慮する必要があります。そこで、旅客の座席種別選択行動の実態と要因、価格や混雑による選択行動の変化など、優等列車の需要特性について、調査を実施し分析しました。

2.座席種別選択要因の実態調査

直近1年以内にJRの在来線特急列車の利用経験がある人約6,000人を対象にWebアンケート調査を実施しました。直近の特急列車利用時の座席種別選択の理由を複数選択で質問した結果、図1のように、指定席利用者・自由席利用者とも、着席できることを挙げた回答が最多となり、着席可否へのニーズの高さが確認されました。また、自由席利用者では安さを挙げた回答が2番目となった一方、指定席利用者では自由席との価格差を気にしないという回答は少なく、価格も重要な選択要素であることが確認されました。

図1 実際の特急列車利用時の座席種別選択理由
※複数回答可として質問

3.価格による座席種別選択行動の変化

同じWebアンケート調査で、優等列車利用を仮定した仮想選択調査を行い、指定席と自由席の価格差が何円までなら指定席を利用するかを調査しました(図2)。この結果に対して2肢選択ロジットモデルを適用して、座席指定に対する支払意志額(座席指定の有無が何円分の価値があると考えられているか)を算出しました。全回答を総合して分析した結果、418.54円と、現行の座席指定による差額に近い金額になりました。これを回答者の性、年代、また仮想選択調査で設定した乗車時間や同行人数の別で分析した結果、図3のように、男性、高年代、長時間乗車、同行人数が多い場合に額が高くなる傾向が確認されました。

また、図2にあるように、自由席が指定席より高い場合でも自由席を利用する、という回答が10~20%程度確認されました。ここから、座席種別の配分にあたっては、座席指定サービスに価値を感じない「自由席固定層」の旅客の存在を考慮する必要があることが確認されました。先行研究(※関連サイト1)では、交通機関選択において「固定層」が存在することが明らかになっており、同様のことが座席種別選択でも言える結果となりました。

図2 座席種別の価格差と指定席選択率の関係
図3 座席指定に対する支払意志額
(性・年代・乗車時間・同行人数別)

4.活用方法

本分析の結果は、座席種別の配分の精緻化に向けた研究を通じて、旅客が希望どおりの座席を確保できる機会の向上や混雑の偏りの緩和、すなわち、利便性向上や輸送力の利用効率向上に活用できます。また、輸送サービスに対する価格設定の影響の定量化にも活用できます。

関連ページ

参考文献

  1. 中川伸吾、柴田宗典、尾崎尚也、深澤紀子、鈴木崇正:在来線特急列車における席種別の需要特性に関する基礎分析、土木計画学研究・講演集、Vol.49、CD-ROM、2014
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