日常生活圏内の新幹線需要に関する研究

日常生活圏内の通勤・通学利用等の新幹線の利用実態を調査・分析し、需要予測モデルを開発しました。

1.概要

これまで、新幹線の需要に関する研究・新幹線の需要予測の主な対象は、都道府県を跨ぐ出張や旅行等の目的を持つ非日常的な旅行需要であり、県内の近距離利用や通勤・通学目的といった「日常生活の足」としての新幹線需要の実態は明らかではありませんでした。そこで本研究では、X県におけるX新幹線旅客を対象としたアンケート調査などにより、「日常生活の足」としての新幹線需要の実態を明らかにするとともに、需要の実態に即した需要予測手法の検討を行いました。

2.日常生活圏内の新幹線需要の実態

まず、X県(図1)における新幹線旅客アンケート調査等をもとに、日常生活圏内の新幹線需要の実態を分析し、以下の特徴が判明しました。

  • アンケート調査を実施したX県においては、旅客の30%程度が日常生活圏内(X県内)の旅行であることや、日常生活圏内の需要の多くは「通勤」、「通学」、「買物」等の生活に密接に関連した旅行目的を持つことが明らかとなりました(図2)。
  • X新幹線の開業により、X県内における新幹線沿線居住者の優等列車の利用頻度が高まっていることが判明しました(図3)。
  • 「X新幹線が存在しないと仮定した場合、あなたは今回の旅行をどのようにすると思いますか?」との問いに対して、日常生活圏内の旅客の大多数は「他の交通手段で移動する」との意向であることが明らかとなりました(図4)。これは、日常生活圏内の新幹線旅客の多数は「他の交通手段からの転換した旅客」であることを示唆していると考えられます。
  • その他、「新幹線通勤定期券」を保有する旅客の約半数が他の交通手段からの転換した旅客であること等の特徴が明らかとなりました。

図1 X県内の鉄道路線
図2 日常生活圏内/間移動の占める割合
(数字はアンケート回答数)
図3 新幹線の開業による優等列車利用頻度の高まり
(X県内:新幹線沿線居住者)
図4 X新幹線が存在しない場合の行動意向
(X県内の利用者)

3.日常生活圏内における新幹線需要予測モデルの開発

続いて、ここまでに判明した需要の実態に即した需要予測手法の検討を行いました。

  • 新幹線定期券、定期外ともに、主な対抗交通手段から新幹線へと転換してくる旅客需要を予測できる需要予測モデルを開発しました(図5)。
  • X新幹線開業前の旅客流動データ等を用いて、X県内における新幹線開業後の需要を予測し、開業後の実績と比較したところ、予測値と実績値は概ね合致しており、開発した需要予測モデル体系は良好な予測性能を有することを確認しました(図6)。

図5 日常生活圏内における新幹線需要予測モデルの体系
図6 需要予測モデルの予測性能(定期外)

4.本モデルの活用

これから新幹線が開業する予定のY県を対象に、開発したモデルを用いて需要シミュレーションを実施しました(図7)。その結果、既存駅同士のD駅⇔E駅では需要量が開通前の2倍程度まで増加するが、新幹線駅が郊外に設置されるD駅⇔(新)F駅については、開通前の水準を下回る可能性があることが示唆されました。このように、開発したモデルにより新たに新幹線が開通する地域における日常生活圏内の新幹線需要を推計することができます。

図7 モデルによる需要シミュレーション(Y県内の例)

参考文献

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