コンクリート材料研究室

Concrete Materials

コンクリート材料研究室では、鉄道構造物をはじめとする膨大なコンクリート構造物を今後とも健全に使用するとともに、将来にわたって手間のかからない良いコンクリート構造物を造ることを目指し、コンクリート構造物に顕在化する様々な劣化現象の解明と調査・診断方法、評価手法、補修方法等に関する研究開発や、新設コンクリート構造物の品質向上に関する研究開発を進めています。また、コンクリートの劣化対策等に有効な高機能材料の開発や環境負荷の低減を目指した研究開発にも幅広く取り組んでいます。

研究室の紹介

研究室の取り組み

コンクリート材料研究室における活動の概要ならびに現在の取り組みについて紹介します。

研究開発

コンクリート構造物の維持管理

化学反応に基づくコンクリート構造物の劣化機構解明と評価

コンクリート構造物の劣化には、一般に水や酸素の存在が大きく影響しますが、これまでの維持管理の体系にはこれらの影響が明確には取り入れられていませんでした。そこで、これらの影響を取り入れた維持管理体系を構築することを目指し、そのための基礎的な検討を行っています

コンクリート構造物の劣化に及ぼす硫酸塩の影響解明

コンクリート構造物に生じる硫酸塩劣化の1つであるエトリンガイトの遅延生成(以下DEF)の反応メカニズムについて検討した結果、DEFの発生初期に、蟹肉状の物質が生成する可能性を示しました。また、従来その劣化が想定されなかった、硫酸塩が少ない環境でもDEFにより膨張を起こすことを確認しました。

新設コンクリート構造物の品質向上

コンクリート表層部の品質の簡易な診断手法

コンクリート材料研究室で開発した、コンクリート品質の簡易な非破壊評価手法である「散水試験」の紹介

反応物質量を考慮したアルカリシリカ反応評価手法の開発

アルカリ骨材反応の反応機構に関わるコンクリート中のpH等に着目して、コンクリートのアルカリ骨材反応性を評価する手法について検討しました。その結果、骨材の評価に加えて、コンクリートの初期pHを測定することで、アルカリ骨材反応性を評価できると考えられることがわかりました。

材料開発

ジオポリマー技術を利用した環境負荷低減コンクリートの開発

産業副産物である石炭灰等を用いたジオポリマーコンクリートの開発を進め、まくらぎを試作しました。

水素イオン濃度を制御したアルカリシリカ反応の抑制方法

水素イオン型のイオン交換体を使用し、アルカリとのイオン交換およびセメント中のpHを低下させることで、アルカリシリカ反応などの劣化を抑制する研究を進めています。

これまでに実施した主な研究開発

コンクリート構造物の維持管理

水量指数法による水セメント比の推定

水セメント比の大きなコンクリートにおいて、その水和反応で生じる水酸化カルシウムがより大きな板状の形態になることを利用し、その配向の程度から、硬化したコンクリートの水セメント比を推定する方法を提案しました。

トンネル覆工コンクリートの劣化メカニズム

トンネル覆工コンクリートの劣化において、SLの煙害や酸性水による硫酸劣化、硫酸塩物質が影響し、膨張性の物質が生じて劣化する硫酸塩劣化、セメント代用品である珪藻土を使用したコンクリートの劣化の発生原因や劣化メカニズムについて紹介します。

コンクリート構造物のアルカリ量測定手法の開発

アルカリシリカ反応が生じる原因となり、将来的な劣化予測にも必要な硬化コンクリートのアルカリ総量は従来求めることが困難でしたが、コンクリート材料では、硬化コンクリートをギ酸で溶解することにより精度よく測定する手法を開発しました。

含水率、中性化残り、塩化物イオン量、気温を用いた鉄筋腐食速度の推定法

コンクリート構造物の劣化に大きく影響する鉄筋腐食について、含水率(%)、鉄筋かぶり深さから中性化深さを差し引いた中性化残り(mm)、塩化物イオン(kg/m3)、気温(℃)から、その腐食速度を算出する推定式を提案しました。

コンクリート電柱の劣化診断と維持管理

鉄道の架線柱としてコンクリート電柱が使用されるようになってから50年以上経過しています。しかし、これまでコンクリート電柱の耐久性に関する調査・研究事例は非常に少ないものでした。そこで、コンクリート電柱の耐久性を明らかにし、材料劣化に対する維持管理方法と補修方法についてまとめました。

補修に関する技術

セメント系補修材の耐久性評価

コンクリート構造物の補修に使用されるセメント系補修材の耐久性評価に関する新たな考え方を提案しました。

塩害抑制工法(SSI工法)の耐久性評価

塩害を受けたコンクリート構造物の補修工法として、塩化物イオン吸着材を用いた断面修復工法(SSI工法)が様々なコンクリート構造物で適用されています。本研究ではSSI工法の耐久性を評価し、現場の状況に応じた補修仕様が適用できるようにしました。

部分断面補修箇所周辺の鉄筋腐食機構

コンクリート構造物の劣化対策の一つとして、部分断面補修が用いられていますが、近年この補修箇所の周辺で鉄筋腐食による劣化が認められ、その対策が求められています。そこで、部分断面補修箇所周辺の鉄筋腐食による再劣化のメカニズムを明らかにし、部分断面補修の効率的な施工について提案しました。

新設コンクリート構造物の品質向上

混和材を使用したコンクリートの中性化評価

高炉スラグコンクリートの中性化速度を検討しました。その結果、圧縮強度と水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の量で中性化速度を評価出来ることがわかりました。また、硬化コンクリート中の高炉スラグ置換量を推定する方法を検討した結果、電子顕微鏡でセメントペースト部のMg量を分析することで推定できることがわかりました。

コンクリートのひび割れに及ぼす骨材種の影響

骨材の品質がコンクリートの乾燥収縮に与える影響とその対策を検討しました。その結果、今までほとんど着目されてこなかった細骨材の粘土塊量が乾燥収縮に影響を与えることがわかりました。また、粘土塊量が多い骨材を水洗することにより、コンクリートの乾燥収縮を低減できることを明らかにしました。

材料開発

アルカリシリカ反応抑制のためのLi含有ゼオライトの開発

アルカリシリカ反応を抑制するために、Li含有ゼオライトを用いた新たな補修材料を開発しました。

実験設備

機器分析装置

低真空システム付加型電子線マイクロアナライザー

数ミクロンの微小領域から数センチの大領域まで、外観の観察及び定性・定量分析のできる分析装置です。

原子吸光光度計

 試料中の元素の定量をする装置です。はじめに、試料を熱エネルギーで解離させて原子化して原子蒸気をつくります。この原子蒸気中に、測定目的の原子を基底状態から励起させる波長の光を通過させると、原子蒸気中の目的原子の数に応じて吸光が起こります。この吸光量から試料中の元素の定量をします。

熱分析装置(示差熱—熱重量分析装置) 

物質の温度を一定条件にしたがって変化させ、その物質の性質を温度の関すとして測定します。物質の性質のうち、質量の変化を検出するのが熱重量分析、基準物質との温度差からエネルギー変化を検出する手法が示差熱分析です。

粉末X線回折装置

X線を結晶面に照射したときに生じる回折X線を測定することによって、物質の結晶構造を調べることができます。

蛍光X線分析装置

物質にX線を照射したときに放出される元素に固有の蛍光X線を分光して波長と強度を測定することで物質に含まれる元素の種類と量を分析することができます。

超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)

細く絞った電子線を真空中で試料上に二次元的に走査し、試料表面から放出される二次電子等の強度を画像として得ることにより、物質の形状を拡大して観察する装置です。

CHNS/O全自動元素分析装置

有機化合物や他の多くの材料に含有される炭素、水素、窒素、酸素及び硫黄の量を迅速に測定する装置です。

試験設備

その他の試験設備

コンクリート材料で保有している主な機器分析装置と試験設備について紹介します。

製品・ソフトウェア

実用化した主な技術

SSI工法(Suppressing Salt Injury Method)

コンクリート構造物の塩害による鋼材腐食の補修は、防錆効果の低い材料で施工すると再劣化する場合が少なくないです。そこで、塩害で劣化したコンクリート構造物の補修用として、塩化物イオン吸着材を混和した高耐久性な補修工法を開発しました。

基準図書・書籍

コンクリート構造物等の調査・診断、材料分析

コンクリート構造物や軌道材料、電柱等の良質な供用に向けて、種々の調査・診断、材料分析を行っています。

技術基準の整備

「鉄道構造物等維持管理標準・同解説(構造物編)」の「コンクリート構造物」「トンネル」の作成に関わりました。

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