セメント系補修材の耐久性評価

コンクリート構造物の補修に使用されるセメント系補修材の耐久性評価に関する新たな考え方を提案しました。

1.はじめに

セメント系補修材は、コンクリート構造物の断面修復材として広く利用されていますが(図1)、その評価は主に補修材単体で行われており、構造物へ施工した後の補修箇所全体の耐久性を評価する指標はありませんでした(表1)。そこで、施工後の耐久性を評価するために、コンクリートと補修材との界面に着目した検討を行いました。

図1 コンクリート構造物への施工例
表1 断面修復材の主な試験方法

2.コンクリートと補修材との界面性状

コンクリート下面に種々の断面修復材を吹付け施工した試験体を作製して、背面側から水を浸透させたところ、短時間で界面から水がしみ出す現象が多くみられました(図2)。これらの試験体について透水係数を求めた結果、水の浸透しやすさはコンクリート単体と比べて最大で100倍以上に達するものもあることがわかりました。実構造物でも、界面から水が浸透することで鋼材腐食を生じる例が多くみられます。この現象は補修材単体の評価では捉えられないことから、新たな品質評価の観点として界面での水分移動抵抗性に着目し、その指標として界面での透水係数を提案しました。

図2 コンクリートと補修材との界面での水分移動抵抗性

この指標を用いた検討を行うことにより、材料特性に応じた下地処理の工夫や材料性能の向上ができるようになり、断面修復材施工後のコンクリート構造物の耐久性をより高め、補修後の再劣化を抑制することができると考えています。

なお、下地処理の違いが界面における水や気体の透過を抑制する効果については、「化学反応に基づくコンクリート構造物の劣化機構解明と評価」の中で実施しています。

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参考文献

  1. 上田洋、玉井譲、工藤輝大:コンクリートと断面修復材との界面における接着特性と水分移動抵抗性、コンクリート構造物の補修、補強、アップグレード論文報告集、Vol.11、pp.13-18、2011
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