ジオポリマー技術を利用した環境負荷低減コンクリートの開発

産業副産物である石炭灰等を用いたジオポリマーコンクリートの開発を進め、まくらぎを試作しました。

1.はじめに

ジオポリマー技術とは、石炭灰などの非晶質材料をアルカリ溶液で処理して、コンクリートのように硬化させる技術です。一般に、普通ポルトランドセメントは、その原料が石灰石(CaCO3)であり、また、その生産に際し1,500℃程度の高温を必要とします。そのため、CaCO3→CaO+CO2↑の反応により直接CO2が発生することに加え、化石燃料からもCO2が発生します。一方、ジオポリマーは、一般的な普通セメントを使用したコンクリートと比較して、およそ80%程度もCO2の発生が少なくなり、かつ石炭灰のような産業副産物の有効利用も進めることができます。

2.ジオポリマーPCまくらぎの作製

これまで、ジオポリマー硬化体は、練り混ぜ等の作製時、しばしば短時間の間に凝結反応が生じるなど、製品作製時の作業性に問題がありました。しかし、試料練り混ぜ温度の調整やシリカ粉末の利用により、凝結時間を確保する手法を開発して、安定して製品を作れるようになりました。そこで、漏水等による劣化のためにコンクリートを使用できない地域向けにジオポリマーPCまくらぎを作製しました(図1)。また、鉄筋の組み立てが煩雑な短まくらぎにおいて、鉄筋を使用しないあるいは減らした繊維補強短まくらぎを作製しました(図2)。その結果、両まくらぎとも既存のコンクリートまくらぎの要求性能を満たすことを確認しました。

加えて、ジオポリマー硬化体はゼオライトのようなイオン交換材としての性質も知られており、その機能を活かした開発も進めています。

図1 硫酸塩劣化等により一般的なコンクリートを使用できない地域向けのジオポリマーPCまくらぎ
図2 繊維補強ジオポリマー短まくらぎ

3.特許

  1. 特許 第5091519【ジオポリマー組成物及びその製造方法】
  2. 特開2014-237561 【ジオポリマー硬化体の製造方法】
  3. 特開2014-028728 【ジオポリマー組成物を用いたイオン交換体、当該イオン交換体の作製方法及び当該イオン交換体を用いたイオン交換ブロック】
  4. 特開2014-028727 【ジオポリマー組成物の作製方法及び当該ジオポリマー組成物を用いた構造体の構築方法】
  5. 特開2014-028726 【ジオポリマー組成物の凝結時間の調整方法】
  6. 特開2012-240852 【凝結開始時間の制御されたジオポリマー硬化体の製造方法】
  7. 特開2012-086537 【ジオポリマー硬化体用離型剤、成形されたジオポリマー硬化体の製造方法】

参考文献

  1. 上原元樹、南裕輔、平田紘子、山崎淳司:ジオポリマーコンクリートの圧縮クリープに関する基礎的研究、コンクリート工学年次論文集、Vol.37、No.1、pp.1987-1992、2015
  2. 南裕輔、上原元樹、梶田秀幸、舟橋政司“ジオポリマー硬化体の配合・作製法と諸性質”コンクリート工学年次論文集、Vol.37、No.1、pp.1969-1974、2015
  3. 束原実、大木信洋、上原元樹“短繊維補強ジオポリマーまくらぎの実用化に向けた基礎的検討”コンクリート工学年次論文集、Vol.37、No.1、pp.1963-1968、2015
  4. 上原元樹:フライアッシュを主原料としたジオポリマーまくらぎの開発、紙パ技協誌、Vol.68、No.12、pp.1361-1365、2014
  5. 上原元樹、佐藤隆恒、大内悠人、山崎淳司:フライアッシュを原料としたH+型ジオポリマーの作製とイオン交換特性、粘土科学、Vol.53、No.1、pp.8-15、2014
  6. 佐藤隆恒、大木信洋、束原実、上原元樹:石炭灰を原料とした短繊維補強ジオポリマー短まくらぎの試作、コンクリート工学年次論文集、Vol.35、No.1、pp.2023-2028、2013
  7. Uehara M., Sato, T., Ouchi Y., and Yamazaki A:“Inhibition of alkali-silica reaction by H+-type geopolymer from fly ash”, The 2nd Asian Clay Conference, 2012
  8. 財団法人鉄道総合技術研究所「2030年の鉄道」調査グループ編:鉄道総研の研究者が描く2030年の鉄道、交通新聞社、pp.161-162、2009
  9. Uehara M., Isogaya S., Yamazaki A.:“Ion-Exchange Properties of Geopolymer Hardened Body Prepared from Fly Ash”,Clay Science, Vol.14, No.3, pp.127-133, 2009
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