主電動機の入替給脂構造

鉄道車両の主電動機に対し、非解体で安定した給脂効果が得られる新しい給脂機構を開発しました。

1.はじめに

軸受に潤滑剤(油またはグリース)を封入して使用した場合、一般に、軸受の寿命に比べて、潤滑剤の寿命の方が短いため、機械を一定間隔で分解して潤滑剤を交換する必要があります。

そこで、鉄道車両の主電動機における定期検査時の保守作業軽減や検査周期延伸を目的として、グリースの潤滑寿命を延伸する取組みと、非分解で潤滑剤を交換する取組みについて紹介します。

2.潤滑寿命を延伸する

軸受の端ふたに設けるグリースポケットの設計指針を提案しました。それにより、軸受内のグリースの劣化程度が低く抑えられ、グリースの潤滑寿命を延ばすことができます(図1)。

図1 グリースポケット形状を改良した場合の潤滑寿命比較
(実物大ベンチ試験)

3.非分解で潤滑剤を交換する

給脂ニップルと呼ばれる供給口をあらかじめ機械に設けておき、潤滑部分に直接新しいグリースを追加供給する方法を中間給脂と呼びます。中間給脂は、鉄道用主電動機でこれまでに適用例があり、現在も一部の車両において行われています。

この給脂ニップルを利用したピストン機構により、劣化グリースを入れ替える「入替給脂機構」を開発しました**。新しい機構では環状のグリースポケットを深さ方向に2分割する板(可動板)を設け、給脂時に軸受から遠ざける方向(図2の左方向、図3の下方向)に動かすことにより、軸受近くで使われ劣化したグリースを軸受から遠ざけ、同時に、深い方に封入された未だ劣化していないグリースに圧力をかけ軸受側へ供給することができます。

グリースを入れ換える構造とすることで、常に一定量のグリースが給脂されることになり、安定した潤滑効果を得ることができます。さらに、給脂グリースが軸受の内輪に沿った円周状に吹き出すようにすることにより、均等に給脂を行うことができます。

図2 入替給脂のしくみ
図3 端ふたへのグリース封入と入替給脂時のグリースの動き

*特許第4173342号
**特許第4918374号、特許第5660685号、他

本研究は株式会社東芝との共同研究により行いました。

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参考文献

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