遠隔非接触振動計測による岩盤斜面の安定性評価手法

非接触振動測定システム「Uドップラー」を用いて遠隔地から安全に岩盤斜面の振動を計測し、崩落危険度を評価できるシステムを開発しました。

1.はじめに

列車脱線などの被害を引き起こす危険がある岩盤斜面からの落石を未然に防ぐために、沿線斜面中の不安定岩塊の早期検出が不可欠です。そこで、非接触振動測定システム「Uドップラー」を活用して、離れた場所から安全に岩盤斜面の振動を計測し、崩落危険度を評価できるシステム(図1(a))を開発しました。

岩盤斜面用の非接触振動計測システム(図1(b))は、無線接続した3台のUドップラーセンサを基地局で制御して同時計測できるシステムです。岩塊の振動を3次元で捉えて振動の卓越方向を推定し、卓越周波数などの評価指標を算出できます。ワイヤレスカメラと反射塗料噴射装置を搭載したラジコンヘリコプターによって、人のアクセスが困難な高所の岩塊の目視情報を収集し、反射ターゲットを形成する手法と装置(図1(c))も開発しました。

図1 岩盤斜面の遠隔非接触振動計測システム

2.安定性評価手法

測定データから卓越周波数などの岩塊安定性の評価指標を推定し、その経時的な変化を調べたり、安定性評価の基準に照合したりすることによって、岩塊の崩落危険度を評価できます。既存の安定性評価の基準として、基盤岩との速度振幅比が2以上で卓越周波数が30Hz以下(または減衰定数が0.2以下)を不安定とする基準が道路分野で用いられており、同基準に非接触計測で得られた評価指標を照合することも可能です。また、鉄道総研では、岩塊の転倒安全率と卓越周波数および岩石物性に着目した新たな評価概念(図2)も提案しており、今後さらなる深度化を図る計画です。

本手法の測定、解析、評価の手順を示したマニュアル(案)と、測定結果から評価指標の算出および岩塊崩落危険度の評価を行うためのソフトウェアも作成しました(図3)。マニュアル(案)では、上記に示した3次元計測法やラジコンヘリコプターによる反射ターゲット形成法の手順を説明するだけでなく、測定対象および評価実施者のニーズに応じたより簡易な手法も説明しました。

図2 転倒安全率—卓越周波数ノモグラムによる評価概念
図3 本手法による測定、解析、評価の流れ
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