フローティング・ラダー軌道

1.フローティング・ラダー軌道の概要

フローティング・ラダー軌道は、ラダーマクラギを低剛性ばねの防振装置または防振材で等間隔支持してコンクリート路盤から浮かせた構造の軽量防振軌道です。(図1~5)

2.フローティング・ラダー軌道の特徴と用途

フローティング・ラダー軌道の特徴は以下の通りです。

  1. 構造物音の低減
  2. 構造物境界の軌道強化
  3. 軌道敷設の工期短縮による低廉化
  4. 軽量・防振軌道による高架橋/橋梁の経済化と耐震化

フローティング・ラダー軌道は、主に以下のような用途で用いられています。

  1. 一般高架橋/橋梁区間の防振軌道
  2. 新設線およびコンクリート路盤上のバラスト軌道の直結化
  3. スラブ軌道の更新

3.フローティング・ラダー軌道の環境性能

北海道旅客鉄道㈱学園都市線(図6)の鉄筋コンクリートラーメン高架橋上に導入された丸型防振装置式フローティング・ラダー軌道について列車通過時の振動・騒音測定を行った結果、フローティング・ラダー軌道は環境性能に優れたPCマクラギ直結軌道に比べて、構造物音の発生に大きな影響を与える高架橋路盤振動加速度レベルで約21dB(オールパス)低減され、優れた環境性能を有することが確認されました(図7)。本成果は、平成13年度の(財)日本騒音制御工学会環境デザイン賞を受賞しました(図8)。

4.フローティング・ラダー軌道の高速鉄道への適用性

フローティング・ラダー軌道の高速鉄道への適用性を検討するために、車両と鉄道構造物の動的相互作用解析プログラムDIASTARSⅡ(図9)を用いてフローティング・ラダー軌道を有限要素法でモデル化し、高速列車走行時に生じる輪重変動に着目して解析を行いました。

新幹線では、開業前のレールが平滑な状態でも±10~20kN程度の輪重変動が生じていることが実測データ(図10)により確認されています。

これに対し、フローティング・ラダー軌道における輪重変動の解析値(図11)は、ラダーマクラギの継目に起因する5kN程度の輪重変動はみられますが、新幹線で確認されている輪重変動に比べて小さい値に収まることが分かります。このように、走行安全性上問題となるような大きな輪重変動は生じることは全くありませんので、高速鉄道へのフローティング・ラダー軌道の導入は十分に可能です。