車両構体の構造最適化手法の検討

1.はじめに

鉄道車両の構体は大規模な構造体であり、走行時の実挙動が複雑です。そのため、車両構体の部分的なモデルだけでは構体に掛かる負荷を評価することが困難です。その一方で、在来線の一般的な車両構体は骨組構造となっており、はりや柱など多数の同一形状の部材で構成されていることから、一車両全体を対象として最適化を実施することは効率的ではありません。そこで、同一形状の部材の中で最も負荷の大きな部材を対象に構造最適化を行って軽量化した形状を求めれば、他の同一形状の部位にも適用可能と考えられます。以上を踏まえ、骨組構造の車両構体を対象とした構造最適化による軽量化手法を提案しました。

2.1車両モデルによる構造最適化

本手法では1車両モデルの応力解析より構体の部材ごとの高負荷領域を評価します(図1)。この計算結果をもとに部材の解析モデルを作成して構造最適化を行います(図2)。ここでは、目的関数を質量、制約条件を剛性、応力保持として、軽量化された構造を導出しました。軽量化された骨組構造の各部材を1車両全体に適用することにより、車両構体全体として剛性や強度が保持された軽量化構体構造が得られます(図3)。

参考文献

  1. 高垣昌和:構造最適化手法の適用による車両構体の強度向上、JREA、日本鉄道技術協会、第58巻、05号、pp.12-15、2015.05
  2. 高垣昌和、沖野友洋、八木毅、山本勝太、高野純一:構造最適化手法の適用による車両構体の強度向上に関する検討、総研報告、第29巻、第7号、pp.39-44、2014.07
  3. 高垣昌和、沖野友洋、小栁勝敬:構造最適化による車両構体の軽量化設計手法、総研報告、第34巻、第12号、pp.35-40、2020.12

その他の関連コンテンツ