粒子法による液体の介在を考慮した車輪/レール間の接触解析

液体介在時の車輪/レール間の接触部における力学挙動の解明に向けて、表面粗さを考慮可能な数値解析手法を構築しました。

1.はじめに

車輪とレールの間に働く粘着力(摩擦力)は、鉄道車輪が転動する上で重要な役割を担っていますが、粘着力が小さすぎれば駆動力に耐えられず車輪の空転・滑走の要因となり、大きすぎれば曲線走行時の騒音の増加や乗り上がり現象の誘発などにつながります。したがって、粘着力の把握は重要な課題です。一方、車輪とレールの間に水や油などの流体や、落ち葉などが介在する場合、粘着力は大きく変動することが分かっていますが、そのメカニズムについては未解明な点が多くあります。

2.提案手法の特長

車輪とレール間に介在する液体の挙動を再現するため、液体に表面張力効果を導入しました。また、粒子法は物質を粒子の集合体としてモデル化し、物体の挙動を再現する手法ですが、精度よく計算を行うためには十分な粒子数が必要であり、車輪やレール全体を粒子でモデル化すると、膨大な粒子数となります。現実的な計算時間での液体挙動を模擬するため、東京大学鈴木正昭助教との共同研究により、解析プログラムの分散並列化を実施し高速化しました。車輪とレールの転がり接触解析は有限要素法を用いて行い、その計算結果を元に、接触部近傍のみの節点における物理情報(位置や変位、速度)を粒子に変換し、液体粒子との連成解析を行いました(図1)。また、車輪やレールの表面粗さをマイクロメートル単位で考慮できるプログラムとしました。

図1 有限要素メッシュと粒子法による解析領域

3.計算事例

表面張力計算においては、理論解との比較計算によって、概ね妥当な表面張力効果を得られていることを確認しました(図2、図3)。次に、数値シミュレーションによりレール表面に液体(水柱)を設置し、時間経過後の液体の拡散、車輪とレール間の流体の介在、および介在した流体が車輪の転動方向前方に押し出される様子が計算可能となりました(図4、動画1)。

図2 単一液滴の表面張力計算結果
図3 液滴中心の密度および圧力の時刻歴
図4 車輪・レール間に介在する液体の圧力分布
動画1 車輪・レール間に介在する液体の圧力分布
車輪進行に伴う液体の車輪進行方向前方への押出し

参考文献

  1. 坂井宏隆、鈴木正昭:有限要素法および粒子法による車輪・レール間の流体挙動シミュレーション、第20回計算工学講演会論文集、Vol.20、2015
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