トンネル微気圧波低減対策

列車が高速でトンネルに突入すると、トンネル内に圧縮波が形成され、トンネル内を音速で伝播して、反対側の出口から外部へ向かってパルス状の圧力波を放射します。このパルス状の圧力波はトンネル微気圧波と呼ばれ(図1)、坑口付近で発破音を発生させたり、家屋の建具等をがたつかせたりして、沿線の環境問題を引き起こすことがあります。

鉄道総研では、微気圧波の現象の解明を行うとともに、種々の低減対策を開発してきました(図2)。実用化された対策としては、トンネル緩衝工(図3)、車両先頭部の小型化・延伸・形状最適化(図4)、トンネル内枝坑の利用、隣接トンネルのシェルター接続(図5)などがあります。現在では、微気圧波の問題をクリアしつつ、最高320km/hの営業運転が実現しています。

関連ページ

参考文献

  1. 斉藤実俊、宮地徳蔵、飯田雅宣:内壁付きトンネル出口フードへの列車突入時性能に関する模型実験、鉄道総研報告、第29巻、第5号、pp.5-10、2015.05
  2. 福田傑、宮地徳蔵、中村真也:トンネル微気圧波を予測する、RRR、Vol.72、No.1、pp.16-19、2015.01
  3. 福田傑、斉藤実俊、宮地徳蔵、飯田雅宣:車両先頭部形状の三次元性を考慮した微気圧波模型実験方法の開発、鉄道総研報告、第27巻、第1号、pp.5-10、2013.01
  4. 福田傑、宮地徳蔵、飯田雅宣:微気圧波を小さくする地上設備、RRR、Vol.66、No.8、pp.10-13、2009.08