住宅密集地に関する音響模型実験・予測評価

建物壁面等の周辺条件が沿線騒音に及ぼす影響を音響模型実験から評価し、その定量的な算出方法を提案しました。 また、住宅密集地における鉄道騒音を予測し、実測結果との比較からその精度を評価しました。

鉄道騒音を評価する際、沿線にある建物が騒音に及ぼす影響を考慮する必要があります。特に建物が密集している場合は、建物による遮へいや多重反射の影響が無視できません。そこで、次の2つの実験および予測を実施いたしました。

(1)建物壁面による反射・遮へいの影響を定量的に評価する手法の提案を行いました。
建物壁面等の周辺条件が騒音測定値に及ぼす影響を定量的に評価するため、実際の騒音測定現場に見られる状況(図1)を模擬した縮尺模型実験(図2、縮尺1/25)を実施しました。本模型実験では、高架区間を走行している新幹線車両を想定し、建物の壁面幅や壁面までの距離等の立地条件を様々に変化させ(図3(a))、近接側軌道中心から25m地点に相当する観測点での騒音の建物の影響による増加量を調べました。今回の実験結果から、壁面から3.5m離れた位置における騒音増加量は約2dBとなること、壁面幅によっては壁面から25m離れた位置でも音の反射の影響を受けることが確認できました(図3(b))。さらに、測定点が3つの建物壁面に囲まれている場合(図2)では、騒音増加量が条件によっては3dBを超えることが確認できました。立地条件による騒音増加量の評価方法として、壁面幅や壁面からの離れ等のパラメータを用いた近似式を提案しました。
今後は、これらの実験結果から、建物などの周辺条件の影響を除去した騒音評価を行うために測定点が満たすべき条件を提案していく予定です。

(2)住宅密集地における鉄道騒音を予測し、現地試験の結果と比較して評価しました。
本予測では、住宅群が騒音に与える影響の評価に道路交通騒音の予測モデル(住宅群超過減衰モデル)を用いました。住宅群超過減衰モデルと鉄道騒音予測法を組み合わせることで、住宅密集地での在来鉄道および新幹線の騒音を予測し、予測結果と現地試験での測定結果を比較しました。在来鉄道沿線、新幹線沿線ともに、建物群背後の騒音レベルを概ね適切に評価することができました(図4、図5)。しかし、建物の直近では反射音の影響や、建物上部から入り込んだ音の影響などがあることがわかりました。
今後はこれらの予測結果から、予測誤差の発生原因を明らかにして、建物などの周辺条件の影響を含めた鉄道騒音の予測法を提案していく予定です。

図1 鉄道沿線の騒音測定状況
図2 縮尺模型実験(1/25)
図3 実験のパラメータおよび実験結果
図4 在来線沿線での単発騒音暴露レベルの予測分布
図5 新幹線沿線での単発騒音暴露レベルの予測分布

参考文献

  1. 澤村陽一、北川敏樹、小方幸恵:建物群がある条件における鉄道騒音の予測、第23回鉄道技術連合シンポジウム(J-RAIL 2016)
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