新しい適性検査の研究

運転に直接関わる作業を行う係員を対象とした運転適性検査について、エラー模擬実験、モニター調査により、新しい検査項目を提案しました。

1.新しい適性検査の研究の意義

鉄道の安全対策の1つとして、運転に直接関わる作業を行う係員に対して適性検査が行われています。この検査項目や判定方式等の基本的な枠組みは検査制度が導入された約50年前とほとんど変わっていません。その間に、保安装置の機能が向上し、保安設備が充実することで、ヒューマンエラーが事故に直結しにくくなっています。このような状況の下、運転保安の面で係員に求められる特性とそのレベルが異なってきたと考えられます。

2.現行体系と新体系への道筋

JR会社の標準的な検査体系は、職種・設備条件により2~9検査となっています。新しい体系で用いる運転適性検査の項目群は、現行検査を含めてより多くの候補の中から、事故に繋がるエラーを起こしやすい者を予測する力の大きいものを優先して選択します。

3.エラー模擬実験による検査の妥当性検証

1,018名の一般の方から、性別、年齢、作業性検査(内田クレペリン検査)の成績を考慮して選んだ79名の方に、6種類のエラー模擬実験と20種類の検査を受けていただきました。その結果、注意容量検査、C-107検査(処置判断)、多重選択反応検査の3つの検査が高い予測力を持つことがわかりました。

4.モニター調査による事故等との対応分析

つぎに、上記の新検査候補を鉄道社員に受けていただき、作業におけるエラー経験の有無との対応を分析しました。注意容量検査と、C-107検査(処置判断)をパーソナルコンピュータでできるようにしたPC版処置判断検査は、残念ながらエラー経験との対応がみられませんでした。多重選択反応検査と割込抑制検査は、エラー経験との対応があることが分りました。なお、割込抑制検査は、上記の3つに準じた予測力を持った検査を改良したものです。

5.新しい検査項目の提案

現行検査についても同様の検討を行い、その結果と合わせて図1のような新しい検査項目を提案しました。

図1 新しい運転適性検査項目(運転士)

参考文献

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