自己チェックを活用した安全指導手法

自己チェックを用いて個人の心理特性を把握し、本人の自主的な工夫について支援していくよう、コーチングを取り入れた面談により安全指導を行う手法を開発しました。

1.特徴

開発した指導手法は、自己チェックを用いて個人の心理特性を把握し、個人特性を考慮した安全指導を行うものです。

対象は運転士、自己チェックの実施とフィードバックをしたのち、グループミーティングの中で心理特性の解説とそれに対する各自の工夫の共有を行います。その上で、面談を行い、本人の自主的な工夫について支援していきます。

図1 安全指導手法の概要

2.自己チェック

「日常的注意経験質問紙」注)をもとに作成したチェックリストを用います。これは、「自分自身の集中力は思い通りにコントロールできる」など26項目について、自分がどう思うかを5段階で評定するものです。注意の3つの側面「注意を集中する能力」「注意のそれやすさ」「上手に注意を割りふる能力」の程度を測ることができます。

注)大阪大学篠原准教授ら作成

3.フィードバック

心理特性という切り口で自分自身の長所短所に着目させ、事故防止への意識を高め、自主的な工夫を行うことを促すために、チェック結果のフィードバック用紙を作成し、返却します(図2)。用紙は、イラスト入り1ページのものであり、心理特性の概要説明、評価結果、評価に応じた注意点、事故防止に向けた活動の問いかけが含まれています。

図2 フィードバック例

4.グループミーティング(グループ討議)

後に行う面談を効率的にするため、グループミーティングを行います。前半は、心理特性について事故事例を使って解説を行い、心理特性についての理解を深めます。

後半は、類似の経験、事故防止の自主的工夫について話し合い、工夫についての知識を広めます。グループは5名程度とし、1)自分が心配な心理特性は何か、2)エラー事例と類似した体験、3)事故防止のための工夫についてまとめ、最後に発表します。

5.面談(コーチング)

面談は、本人が心配な心理特性について、今後、どのような工夫を行っていくか、それをどう指導者側が支援していくかを相談するものです。

知識や技能であれば熟練者が初心者に教えればよいのですが、安全についての指導は教えるだけでは十分ではありません。安全指導は、本人の態度をより安全な方向に変わるよう働きかけることですので、その変化は本人が納得し、変わろう、成長しようという意志があることが出発点になります。そのため、面談では、相手の成長を支援する手法であるコーチング手法を用い、本人の自主的な工夫を促していきます。

面談は1回だけでなく、定期的に行っていきます。

6.指導手法についてのアンケート結果

鉄道会社の運転士を対象に試行を行い、事故防止に効果があると思うかを4段階で評価してもらいました。「役立つ」「やや役立つ」という回答が、検査とフィードバックでは延べ105名中84名(80%)、グループ討議では55名中49名(82%)、面談では31名中25名(81%)、安全指導の全体を通した評価では17名中14名(82%)と、高い評価を得ています。

参考文献

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